タイヤ4社の16年1~9月期詳報 非タイヤ部門は円高が響き全社減収

2016年12月05日

ゴムタイムス社

 タイヤメーカー4社が発表した16年12月期第3四半期決算によると、工業用品などを主体とする非タイヤ部門の売上高は、各社とも前年同期実績を下回った。利益面では、スポーツ事業が好調だった住友ゴム工業を除き、3社が減益となった。円高の影響や、自動車生産の減少、資源国関連などの需要低迷により産業用資材の販売が減少した。全売上高に占める非タイヤ部門の売上比率については、1社が上昇、2社が下落した(今年ATGを買収した横浜ゴムを除く)。

◇ブリヂスト
 ブリヂストンの非タイヤ事業である多角化部門は、ベルト、ホース、インフラなどを含む化工品事業に、スポーツ用品、自転車などを加えたセグメント。

 16年12月期第3四半期の多角化部門では、売上高は4425億円で前年同期比7%減、営業利益は国内事業における利益減少の影響により290億円で同11%減となり、減収減益となった。全売上高に占める多角化部門の割合は18・1%で、同1・3ポイント上昇した。

 通期の予想では、多角化事業の売上高は5900億円で前期比7%減、営業利益は400億円で同10%減、営業利益率は6・8%を見込んでいる。

◇住友ゴム工業
 住友ゴム工業の非タイヤ事業はスポーツ事業および産業品他事業から成っており、16年12月期第3四半期の合計売上高は797億5700万円で前年同期比5・2%減、営業利益は47億4800万円で同198・8%増となり、減収増益となった。全売上高に占める非タイヤ事業の割合は14・2%で同0・1ポイント下落した。

 そのうちスポーツ事業の売上高は、545億3400万円で同2・8%減と前年同期実績を下回ったが、国内ゴルフ用品市場における「ゼクシオ ナイン」の増販による販売構成の良化や、円高による仕入コストの減少などにより、営業利益は34億8000万円で同694・0%増と、大幅な増益となった。

 産業品他事業の売上高は、252億2300万円で同10・0%減、営業利益は12億6800万円で同10・3%増となった。医療用ゴム部品や制振事業は堅調に推移した。プリンター・コピー機用精密ゴム部品ではプリンター・コピー機メーカーが減産となったことに加えて、為替の円高影響もあって減収となった。体育施設や土木海洋といったインフラ系商材も販売が減少した。以上の結果、産業品他事業の売上高は減収となったが、経費の抑制などにより増益となった。

 通期の予想では、スポーツ事業の売上高は760億円で前期比2%減、営業利益は35億円で同74%増。産業品他事業の売上高は390億円で同横ばい、営業利益は25億円で同29%増を見込んでいる。

◇横浜ゴム
 横浜ゴムの非タイヤであるMB(マルチプル・ビジネス)事業の16年12月期第3四半期は、売上高が809億1200万円で前年同期比9・8%減、営業利益は46億8600万円で同38・5%減となり、減収減益となった。全売上高に占める同事業の割合は19・7%だった。なお、オランダ「アライアンス・タイヤ・グループ(ATG)」の買収に伴い、第3四半期よりATGセグメントを新設したため、売上比率の前年同期対比は行っていない。

 そのうちホース配管は、自動車用ホースの需要が低迷するなど市場環境が厳しく、売上高は前年同期を下回った。工業資材は円高に加え、国内粗鋼生産の低迷などで売上高は前年同期を下回った。

 ハマタイト・電材は建築用シーリング材が国内のビル着工数の伸び悩みを受けて低迷し、売上高は前年同期を下回ったものの、自動車用接着剤は海外向けが順調に推移し増益となった。

 航空部品は官需向けが好調となったが、民間航空機向けは円高の影響もあり低調で、売上高は前年同期を下回った。

 通期の予想では、MB事業の売上高は1120億円で前期比8・0%減、営業利益は77億円で同26・9%減を見込んでいる。

◇東洋ゴム工業
 東洋ゴム工業の非タイヤ部門であるダイバーテック事業の16年12月期第3四半期売上高は571億3600万円で前年同期比5・9%減、営業利益は23億1000万円で同18・5%減となり、減収減益となった。全売上高に占める同事業の割合は20・5%で同0・3ポイント下落した。

 輸送機器分野では、自動車用シートクッションで新規受注品が好調に推移したが、自動車用防振ゴムでは同社品装着車種の販売減少や、為替が円高基調に振れた影響を受け、全体の売上高は前年同期を下回った。

 鉄道車両用空気バネ・鉄道車両用防振ゴムでは、海外新車市場・海外補修市場向けへの販売は好調だったが、国内補修市場向けへの販売が低迷したため、売上高は前年同期を下回った。

 断熱・防水資材分野のうち、断熱資材分野については建材メーカー向け硬質ウレタン原液の販売が低迷したことに加え、農畜舎向け資材で大型物件の販売が低調だったため、売上高は前年同期を下回った。防水資材分野についても、主力のゴムシート防水材の需要低迷により、売上高は前年同期を下回った。

 産業・建築資材分野は産業用ゴム引布を中心に販売が好調だったが、道路資材で公共事業での受注が低迷したため、売上高は前年同期を下回った。

 ダイバーテック事業の通期業績予想は、売上高については771億円、前期比6・0%減と下方修正を行った。営業利益については31億円、同21・6%減と上方修正しており、営業利益率は4・0%を見込んでいる。

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