ブリヂストン 天然ゴムより優れた性能のIRの合成に成功

2016年12月14日

ゴムタイムス社

 ブリヂストンは12月13日、東京・南麻布の同社グローバル研修センターで技術発表会を開催し、天然ゴムより優れた性能を持つポリイソプレンゴム(IR)の合成に成功したと発表した。

 最初に迎宇宙・中央研究所長が開発の背景を説明した。天然ゴム代替の合成ゴムとしてはIRがあるが、従来のIRの二つの課題として、石油由来なのでサステナビリティの観点から問題があること、天然ゴムに比べて性能が劣ることを指摘。今回開発した新規IRは、この二つの課題に関して「新たなブレークスルーができた」と述べた。

 続いて、会田昭二郎・中央研究所担当付フェロー(本部長)が新規IRについて解説した。

 タイヤ材料の構成比で4分の1以上を占める天然ゴムの特長は、引張強度と耐久性に優れていること。ただ、農産物なので生産安定性と品質安定性に難があり、価格変動が激しいというマイナス面がある。

 一方、従来IRは生産と品質の安定性、加工性、反発弾性、動的発熱性に優れてはいるものの、引張強度と耐久性が天然ゴムに比べて劣っていた。

 これに対し、新規IRは、従来IRが重合触媒としてリチウム・チタン・ネオジムを使っていたのに対し、独自開発のガドリニウム触媒を使うことで、高性能化を実現した。

 具体的には、ゴムの性能を示すシス率が天然ゴムと同様に極めて高い上に、性能と加工性に影響する分子量のばらつきが天然ゴムに比べて小さいIRの合成に成功した。

 天然ゴムの代わりに新規IRを使ってタイヤ材料を作成し、性能評価を行ったところ、耐破壊物性と低燃費性能で、天然ゴムを使用したタイヤ材料よりも優れた性能を示すことが確認できた。

 原料には再生可能資源であるバイオマス由来のイソプレンを使用することが可能で、サステナブルマテリアルとしての利用が期待される。

 今後は実用プロセス条件と安定的なイソプレン確保の検討を進め、2020年代の実用化を目指していく。

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