ブリヂストン 彦根工場でエクサメーションの見学会を開催

2016年12月22日

ゴムタイムス社

 ブリヂストンは12月20日、彦根工場(滋賀県彦根市)で三枝幸夫執行役員タイヤ生産システム開発担当や井上和明彦根工場長らが出席し、2月から同工場に導入している新しいタイヤ成型システム「EXAMATION(エクサメーション)」を報道向けに初めて公開する見学会を開催した。

  同社は2002年に部材工程から製品検査工程までを全自動化した「BIRD(バード)」を開発するなど、高性能タイヤの開発、品質向上に向け、ICT(情報通信技術)や最先端技術を導入したタイヤ生産システムの研究、開発を進めている。

 同社によると、エクサメーションの構想が持ち上がったのは2008年ごろから。開発に至った背景は、先進国で労働力人口が減少していることや、新興国での人件費上昇に伴う労働力の確保が難しくなっていることなどを挙げた。エクサメーションについては同社独自のICTに新たに人工知能(AI)を実装した新しいタイヤ成型システムとなっており、品質向上、高生産性、自動化によるスキルレスの3点が主な特長である。

 品質向上では、タイヤ1本あたり480項目の品質データをセンサーで計測し、それぞれ部材が最適条件で組み立てられるようにリアルタイムで自動制御するAIを実装。これにより、従来の製法に比べて真円性(ユニフォミティー)が15%向上した。

 高生産性については、複数のドラムを配置したマルチドラム製法を採用し、各部材の貼り付け動作を同時に行う。これにより、新システムの生産能力は既存の成型機を使った成型工程に比べて約2倍高まるという。

 自動化によるスキルレス化では、技能員のスキルに依存する生産工程や品質保証の判断・動作も含め、すべて設備側で自動化。人の介在によるばらつきを抑えることで、従来にない高精度なモノづくりが可能になるとした。

 彦根工場は日産5万3000本の乗用車用タイヤを生産し、同社グループ内のタイヤ工場でトップの生産能力を持つ。新興国のタイヤメーカーとの競争が激しさを増すなかで、同社は16年から同工場に約150億円を投じて最新鋭の技術と設備を導入し、生産ラインを再設計する「彦根プロジェクト」を開始している。エクサメーションの導入もその一環。

 エクサメーションで成型されるのは、日本と欧州でボリュームゾーンとなっている13~17インチの乗用車用タイヤ。見学会後に行われた質疑応答で、三枝執行役員は「彦根工場では現在3台のエクサメーションが稼働している。1日あたりの生産量は1000本程度とまだ少ないが、同プロジェクトが完了する20年までに従来の成型工程の3~4割をエクサメーションに置き換えていく」と述べた。また、今後はエクサメーションをハンガリーの工場やロシアの新工場にエクサメーションを導入する方針だ。

 エクサメーションで得られる情報は、成型データの他、材料データ、製品データと幅広い。得られた情報については、既存の成型システムや前後の工程間、製品情報などさまざまなデータにつなぐことで、工場全体での工程能力向上に役立てていくとしている。

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