2017年05月22日
日本グッドイヤー金原雄次郎代表取締役社長
2015年に米グッドイヤーの100%子会社として再スタートした日本グッドイヤー。2015年12月に社長に就任した金原雄次郎社長に、16年を振り返ってもらいつつ、17年の事業方針を聞いた。
――これまでを振り返って。
グッドイヤーは一昨年の9月末まで16年間、住友ゴム工業とアライアンスで事業を行っていた。アライアンス解消後の2015年10月1日、日本グッドイヤーは、グッドイヤーの100%子会社に戻った。
アライアンス解消後に注力していたことの1つが、1年3ヵ月という期間を定め、グッドイヤーのグローバル標準に合わせる統合プロジェクトに取り組むことだった。
これは予定通りに終わり、現在はそれを継承し、定着する取り組みを進めている。
もう1つは、事業としての業績を上げていくことで、これはとても大変だった。統合プロジェクトを進めながら成果を求めなければならなかったからだ。しかし、皆が頑張ってくれたおかげで、業績も確保することができた。
グローバル標準適合と事業業績向上に注力
――統合プロジェクトで特に難しかったのは。
グローバルな標準を満たしつつ、地域の事情にどう適合させていくかということだ。ただ、グッドイヤーがいい会社だと思ったのは、基準を守りつつ、市場の特殊性を勘案して、アジャストしていくことを許してくれたからだ。
もちろん、野放しではなく、ある種の制限を付けつつ認める。グッドイヤーは、そういう融通性がある会社だと言える。
――昨年、特に力を入れたのは。
いくつかあるが、1つはグッドイヤーならではの独自性のある商品をしっかり販売していこうということで、オールシーズンタイヤに注力した。
降雪地帯では、夏・冬タイヤをそれぞれ持って使い分けており、それはそれでいいと思う。
しかし、ごくまれに大雪が降る東京のような非降雪地帯では、大雪になると、急いで冬タイヤに替えなければということで販売店に消費者が殺到し、何時間も待たされることになる。
ところが、オールシーズンタイヤを使っていれば、そうした心配は要らない。こうした非降雪地帯の方々に使っていただきたいのがオールシーズンタイヤである。
長年販売してはいたのだが、昨年の8月から強化を始めた。サイズを増やしたり、大々的に広告活動を行ったりした結果、うまく立ち上がった。
オールシーズンといえばグッドイヤーというイメージを確立したい
もう1つは知名度。ブランドの消費者認知を上げるため、ウェブに従来以上に力を入れ、ウェブサイトのリニューアルを行った。テレビCMもスポットから番組提供に切り替えた。こうしたことで、限られた原資の中でも成果が出てきたと思っている。
この取り組みは、今年も引き続き行っており、2月からベクターフォーシーズンズの新しいCMを流している。これまで、オールシーズンというと、冬タイヤだと考えられがちだった。そうではなく、夏タイヤで、冬でも使えるタイヤなのだというふうにイメージを変えていければと思う。
こうした活動を通じて、販売店には一年を通して売れるタイヤ、消費者には一年を通して使えるタイヤということをしっかり伝えられればと考えている。
日本ではまだわずかだが、米国では8割がオールシーズンタイヤだ。欧州でも増えている。当社は世界で最初にオールシーズンタイヤを商品化した。そうした自負もあり、長年積み重ねてきたものもある。
日本でもオールシーズンタイヤ市場をつくり、リーダーとして市場を牽引していきたい。「オールシーズンと言えばグッドイヤー」というイメージを確立し「ベクター」という商品名を覚えていただければと思っている。
販促活動としては、販売店を中心に試乗会を行っている。消費者にはフェイスブックを活用し「アンバサダー」という名称のモニターになっていただいているほか、3月15日から5月末まで消費者向けキャンペーンを実施している。
――新製品について。
非対称パターンが特徴の「イーグルF1アシメトリック3」を2月1日に発売した。これはウルトラハイパフォーマンスタイヤで、高速走行性能と快適性を追求したイーグルシリーズのフラッグシップタイヤである。
また、今秋にはスタッドレスの新商品を上市する……