日本ミシュランタイヤ 年頭所感 ベルナール・デルマス社長

2012年01月16日

ゴムタイムス社

 2012年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。平素は格別のご愛顧とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。2011年は日本にとって非常に厳しい年となりました。東日本大震災により、多くの方の尊い命が失われましたことに深く哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様とそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。これまでのキャリアの3分の2を日本で過ごし、心から日本を愛する私にとって、あの大災害は決して他人事ではありません。私も被災地へ行き、お客様を訪問しましたが、あのような災害に遭いながらも冷静さを保ち、協力し、次の飛躍に向けてすぐに行動を開始する被災地の皆さんを見て、日本人の素晴らしさを再認識させられました。私は、日本がまた必ず世界を驚かせるような力とスピードで復活すると信じていますし、微力ながらそのお手伝いができればと考えております。
 ミシュラングループは世界的に拡大を続けるタイヤ市場において、2011年を通じて好業績を示しました。日本においても、震災の影響はあったものの、ミシュランが年間を通じて堅調な業績を維持できたことは、パートナーである販売店の皆様のおかげと、心より感謝しております。一方、原油をはじめとする原材料価格の高騰が続き、コスト削減に努めましたが、企業努力のみではすべてを吸収できず、日本においてもやむなく価格改定を行いました。お客様ならびに販売店様にとっても厳しいビジネス環境の中での実施でしたが、ご理解を賜ることができました。
 2011年、ミシュランは日本における新しいページを記しました。日本におけるミシュランの経営効率と安定性を高め、持続可能な発展を続けていくことを目的に、1月1日付で日本ミシュランタイヤ株式会社にミシュランリサーチアジア株式会社を合併いたしました。 新製品投入も積極的に行い、二輪車用オンロードラジアルタイヤ「MICHELIN Pilot Road 3」を2011年1月に、乗用車用スポーツタイヤのフラッグシップ「MICHELIN Pilot Super Sport」を2月に、トラック・バス用省燃費オールシーズンタイヤ「MICHELIN XZN MIX ENERGY」を3月に、トラック・バス用低燃費スタッドレスタイヤ「MICHELIN X ICE GRIP ENERGY XZW」を9月に発売しました。これらの新製品に共通するのは、トータルバランスを重視するというミシュランの基本理念を体現したタイヤであるということです。すなわち「MICHELIN Pilot Road 3」はあらゆる気象条件下での優れたグリップ性能、「MICHELIN Pilot Super Sport」はスポーツ性能、「MICHELIN XZN MIX ENERGY」ならびに「MICHELIN X ICE GRIP ENERGY XZW」は省燃費性能を高い次元で追求しつつ、決してその他の性能を犠牲にしておりません。
 モータースポーツにおいては、日本で最も人気のあるシリーズであり、タイヤメーカー同士が高いレベルで競い合うことができるSUPER GT のGT500クラスにおいて、ミシュランタイヤを装着する#46 S―Road MOLA GT―R(ドライバー:柳田真孝/ロニー・クインタレッリ両選手)がGT500クラスのドライバーズ/チームの両タイトルを獲得しました。GT500クラス復帰後僅か3年でパートナーチームのチャンピオン獲得に貢献できた事を大変誇りに思います。また、オーストラリアで開催された「2011ワールド・ソーラー・チャレンジ」で、ミシュランのソーラーカー用専用タイヤを装着する東海大学ソーラーカーチームの「Tokai Challenger」が総合優勝を果たし、2009年の前回大会から二連覇を達成しました。 ガイドブック事業においては、2011年7月に「ミシュランガイド ボンヌ・プティット・ターブル・東京」、10月に「ミシュランガイド京都・大阪・神戸・奈良2012」、11月には「ミシュランガイド東京・横浜・湘南2012」を発行いたしました。 2012年も、ミシュランでは乗用車・ライトトラック用タイヤならびに二輪車用タイヤの新製品をいくつか発表する予定です。いずれも、「よりよいモビリティ」に貢献することを企業の使命としているミシュラングループの環境への取り組みを体現化したものです。また、トラック・バス用タイヤに関しましては、ミシュランが得意とする省燃費タイヤセグメントのサイズラインナップを拡充すると同時に、引き続きリグルーブ・リトレッドに注力していきます。タイヤ一本あたりの使用期間を延ばすリグルーブとリトレッドは、ユーザーの皆様にとってのコスト削減と、原材料の使用量を減らし廃棄タイヤを減らす環境への影響低減を同時に実現する取り組みです。
 先進技術で世界をリードする自動車/機械メーカーの本拠地である日本は、ミシュラングループにとって大変重要な国です。また、日本のユーザーは製品の真の価値を見抜く目を持っています。その日本で、世界に3ヵ所ある研究開発センターのひとつとして研究開発を行う群馬県太田市の事業拠点は、ミシュランにとって今後さらに重要な役割を担っていきます。成長を続けるアジアをはじめとする新興国向けタイヤの研究開発強化ならびにアジアにある生産拠点への技術サポートのため、同センターを増強する取り組みを続けていきます。
 私たちは、ミシュランのすべての製品の根底に流れるトータルバランス重視という基本理念へのご理解を頂けるよう、あらゆる分野の社員が一つになり、そのサービスの向上に努めていく所存です。本年も皆様から一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。