ブリヂストン 新興国での市場変化に対応  低燃費タイヤにシフト

2010年09月02日

ゴムタイムス社

 ㈱ブリヂストンは中国、インドなどの新興国市場で環境商品である「エコピア」などの低燃費タイヤ需要が今後、急速に拡大するとし、こうした市場の変化に対応した新興国での新たなタイヤ事業戦略を25日発表した。

会見で荒川詔四社長は、他社には真似のできない「土俵を変えて戦う」姿勢を強調、また、直近の円高傾向について「日本からの輸出は少なく、グローバル事業展開で影響は軽微」と述べた。会見での発言主旨は次の通り。
〈新興国戦略〉
新興国市場では、まだ足元の競争はいわゆる汎用タイヤであり、コスト競争力や展開のスピードが主な競争要件であるが、一気に現在の自動車産業先進国のような段階に到達する市場の急速な進化の可能性がある。「名実ともに世界一」の地位を築いていくため「垂直統合の最大活用」と「ユニークですぐれたビジネスモデルの投入」で土俵を変えて戦っていく。
垂直統合の上流では自前で保有する天然ゴム、合成ゴム、カーボンブラックやスチール・コードなどの開発・生産施設でタイヤの性能やコストを原材料レベルから研究し、コントロールできる体制を整えている。原材料のナノレベルからの研究成果が「エコピア」にも搭載されており、新興国市場においてもユニークな商品力を提供できる。
〈低燃費タイヤ需要〉
低燃費タイヤ「エコピア」をアジアでは韓国に続き中国でも今年6月より、47都市で販売を開始したが計画を大幅に上回る勢いで推移、10月には、新たにインド、タイ、インドネシアなど6ヵ国での販売開始も予定しており、環境商品の需要は先進国に相当なスピードで近づいていくとみている。
販売ネットワークも中国で約1200店舗、アジア・パシフィック地区ではインド約160店舗、タイ約270店舗を含む約1600店舗を直営店を含むファミリーチャネルとして既に展開しているほか、ブラジルでも約520店舗を展開し、市場のニーズを的確に捉え、それをビジネスの上流につなげるとともに、市場に商品を最適な形で販売する体制を着々と整えている。
〈トラック用タイヤのソリューション・ビジネス〉
バンダグ社のリトレッド・タイヤ技術を活用し、新品タイヤ、リトレッド・タイヤ、タイヤのメンテナンス・サービスを組み合わせたビジネスモデルは、省資源にも大きく寄与するシステムで急激に高まりつつある環境意識の観点からも今後、新興国においても大きな武器となる。
〈新興国での多角化事業〉
太陽光発電パネルに使用する封止膜のEVAフルムや電子ペーパーは環境商品としての価値が高く、新興国での動向もしっかりと計画におり込み、グローバルに積極的に展開していく。
〈円高の進行〉
為替感応度はグループで1円の円高で売上高は170億円、営業利益で18億円の影響があるが、日本からのタイヤ輸出は2割。グローバルに事業を拡大しており、輸入原材料価格の低減もあり影響は軽微。足元85円程度であれば販売、生産の長期的な戦略変更は不要。
〈タイヤ需要見通し〉
国内の自動車生産はエコカー補助金の打ち切りで下期は前期比90%程度、新車の輸出向けが増加することでトータルの生産台数は下期103%程度とみている。乗用車用タイヤの国内販売は全体の2割程度であり、そのうち新車向けは2割以下と影響は限定的とみている。

(写真)
記者会見する荒川社長

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