横浜ゴム 電池パック向け接着剤開発

2012年07月09日

ゴムタイムス社

 横浜ゴムは9日、リチウムイオン電池パック向け接着剤「LASH ONE/FE1‐120」を開発したと発表した。

 同製品は一成分形速硬化型弾性接着剤「FLASH ONE」の新グレードで、携帯電話やデジタルカメラなどのバッテリーとして使われるリチウムイオン電池パック向けの接着剤。高い難燃性(安全規格:UL94‐V0認証)や接着信頼性(安全規格:UL746C Temperature Index 80℃認証)を満たし、有機スズフリーでREACH(欧州化学物質規制)対応も完了している。国内の大手電機メーカーからの評価を受け、年内の量産開始を予定。

 「FLASH ONE/FE1‐120」は、主成分であるシリル基含有樹脂に独自の配合技術を加えることで、難燃性に優れるため、発火の懸念があるアーク部位近くにも使用でき、シロキサンフリーのため接点不良が懸念される部位でも使用可能、低アウトガスのためセルを被覆する熱収縮チューブを侵食しない、接着信頼性に優れる、などの特長を持つ。このため同製品は様々な部位に使用が可能で、従来、部位ごとに異なった接着剤を使用する必要のあったリチウムイオン電池パックの組み立て作業を大幅に簡素化することができる。

 また、同製品は、すでに使用が制限されているハロゲン系難燃剤、フタル酸エステルを含有しないほか、シリル基含有樹脂について従来から要望が高かった有機スズフリー仕様となっており、ジブジルスズやジオクチルスズなどを含有しないなど、化学物質規制にも配慮をしている。

 同製品はリチウムイオン電池パックに限らず、難燃性が求められる製品の組み立てに幅広く使用できることから、今後は携帯機器、自動車、住宅向け電池分野にも展開の予定。

 同社は、新規事業開拓の一環として2009年から「FLASH ONE」シリーズを展開。同シリーズは硬化が速く、樹脂や金属、紙など様々な部材への優れた接着性能を発揮する。さらに、有機溶剤を使用していないため、作業環境の改善や環境負荷の軽減が図られる。これらの特長が評価され、すでにOA機器やスピーカー、太陽光発電モジュールなど多様な製品に採用されている。今後もユーザーへの提案型営業を推進し、新分野への応用拡大を図る方針。

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