ブリヂストン 天然ゴム資源「パラゴムノキ」の病害診断技術を確立

2012年07月17日

ゴムタイムス社

 ブリヂストンは10日、タイヤに使用される天然ゴムの原料となる「パラゴムノキ」の生産性を向上した2つの新技術を開発したと発表した。

 同社は同日に説明会を開催。同社中央研究所長 森田浩一氏が概要を説明した。

 最初の技術は「パラゴムノキ」の病害のひとつである根白腐病を診断する技術を世界で初めて確立。

 天然ゴムの主要生産地域であるインドネシアでは、パラゴムノキの根白腐病が拡大しており、被害額は年間100億円以上で年間生産量の約6%までになっている。
 そこで、同社は2010年からNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)研究協力事業の一環で、日本では東京農業大学、東京農工大学、九州大学とインドネシアでは、インドネシア技術評価応用庁、ボゴール農業大学と連携し、「パラゴムノキ」の病害診断・防除技術の開発を進めてきた。

 今回確立した技術は、目視による診断に頼らない「衛星画像解析による診断」、「ラテックスの成分分析による診断」、「DNAを利用した病原菌検出」、「葉表面スペクトル・温度の測定による診断」の4つの技術。同技術により、迅速・簡便・高精度な診断が可能になった。

 もうひとつは国立遺伝学研究所・大量遺伝情報研究室の研究協力のもと、「パラゴムノキ」のゲノム概要配列の解読に成功したこと。

 今回解読したゲノム情報は、遺伝子が豊富に存在するゲノム領域の9割以上をカバーしているものと推定されており、解読したゲノム情報を活用することで、生産性が高く品質の高いラテックスを産出するパラゴムノキを選抜する技術や耐病性・環境ストレス耐性に優れた品種の開発など、様々な応用研究が加速できるものと期待している。

またロシアタンポポ、グアユールなどの天然ゴム生産植物との比較ゲノム解析による天然資源の拡充・多様化への貢献ができる。

 同社は今回発表された技術開発により、天然ゴムの生産性向上に貢献するとともに、タイヤの原料を「100%サステナブルマテリアル化」の実現に向け、さらに前進していく。

解説する森田中央研究所長