アジアでの成長市場に生産拠点 自動車、鉄道用防振ゴム核に

東洋ゴム

市川貴史取締役常務執行役員

市川貴史取締役常務執行役員

 東洋ゴムのダイバーテック事業では中計11「ビジョン20」で自動車部品事業の拡大、ウレタン事業のアジア展開、鉄道車両部品事業の海外展開、世界最高の環境配慮技術の具現化を戦略事業に掲げ、グローバルサプライチェーンの確立を目指している。また、国内事業では経営資源の最適化を図ることを目的に、2013年1月1日付で鉄道車両用部品、OA機器部品、および産業・建設・防水資材関連商品の開発、生産、販売を、100%出資子会社である東洋ゴム化工品販売に統合し、新しく事業統括会社となる「東洋ゴム化工品株式会社」をスタートさせる。市川貴史取締役常務執行役員(ダイバーテック事業本部長)に今後の事業戦略を聞いた。

 ダイバーテック事業の現況からお聞かせください。
 市川氏 このところの販売動向については鉄道車両用防振ゴム、建築用、防水、産業用のゴム製品と硬質ウレタンをあわせると全体では計画通りで推移しているところです。大きく伸びたのは硬質ウレタンの原液販売で、LNGタンクの吹付用の国内需要が旺盛でした。
 産業用ゴム製品では震災復興の増販需要があまりなく、防振ゴムでは鉄道車両用の中国向け輸出が鉄道インフラ投資の影響を受け落ち込んでいるほか、欧州向けもやや需要が鈍化しております。 一方、免震ゴムは震災以降、社会インフラ整備による需要が活発で、当社明石工場では現在フル生産が続いています。当社では高減衰ゴムによる免震ゴムに特化、中・低層のマンション需要をターゲットに拡販する計画でいることからより生産性の向上を図り、旺盛な需要に対応していきたいと考えております。
 自動車用防振ゴムについては、自動車のエコカー減税を追い風に上期は毎月計画を上回る勢いがあったものの8月以降需要に陰りが見られ、中国向け輸出は9月以降、景気の減速等により需要が止まりました。10月以降は日本の自動車メーカーの大幅減産も伝えられており、下期以降の懸念材料でもあります。中国以外の海外子会社では、アメリカでの販売状況が自動車生産の回復で伸びがあり、また収益性の高い製品に注力したこともあって利益に貢献しているほか、オーストラリアも順調に拡大しております。

 成長市場でのグローバル展開を加速させていますが。 
 市川氏 現在、自動車用防振ゴムの海外生産拠点はアメリカ、中国、台湾、オーストラリアの4拠点、香港にOA機器用のクリーニングブレード拠点を有します。さらにアジア市場での成長戦略をはかるうえで自動車部品の戦略的事業拡大を進めて参ります。2012年11月からはタイで自動車用防振ゴムの販売を開始するほか、同じくタイのOA機器向けクリーニングブレードの製造、販売会社ではすでに試作段階に入り、11月から本格生産を予定しています。
 中国市場では無錫に設立した「無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司」で鉄道車輌用部品(空気ばね、防振ゴム)の生産を2013年6月に開始する予定です。また、中国佛山市には自動車等輸送機器向けにウレタンシートクッションを製造、販売する合弁会社「佛山東洋時利和汽車零件有限公司」が2013年7月に生産開始を計画しています。当社の長期ビジョンの中でダイバーテック事業については、徹底的なコア事業への経営資源の集中によりグローバル展開を加速させていく計画です。今後も当社海外タイヤ工場での流通チャネルを利用してアジアでの商流拡大を図っていきたいと考えています。

 一方、国内事業では新会社「東洋ゴム化工品株式会社」を来年1月からスタートさせますが。
 市川氏 ダイバーテック事業ではこれまで選択と集中により収益体質の強化を図ってきました。さらなる経営資源の最適化を図るため鉄道車両用部品(防振ゴム)、OA機器部品、および産業・建設・防水資材(免震ゴム,遮水システム)関連商品の開発、生産、販売を新会社に統合し、ダイバーテック事業の収益力アップを図るのが狙いです。工場、技術、販売が一体となることで利益体質を作りだし、コストの低減を図り、競争力の強化を図ってまいります。

 長期事業戦略について
 市川氏 ダイバーテック事業部門の戦略の一つとして、ウレタン事業の新たなグローバル展開を掲げています。アジア市場での拡大により2015年までにダイバーテック事業の売上高900億円を目指していきます。選択と集中は既に終わり、現在のダイバーテック事業はすべて注力分野であり、 キーワードを環境とエコに置き、研究開発を加速させていきます。国内事業では今後の震災復興需要に期待を寄せていますが、社会生活に欠かせない老朽化したインフラ整備の改修需要関連や次世代エネルギーでの新製品開発にも注力、製造業として培った技術力を生かし社会に貢献する製品を供給していきたいと考えています。

ダイバーテック事業の注力商品

 東洋ゴムのダイバーテック事業では防振ゴムや空気バネを中心に、建築用免震ゴム、道路資材、断熱材、OA機器部品など、優れたゴム関連技術、振動制御技術を活かした各種製品を取り扱っており、特に、自動車用防振ゴム製品、鉄道車両用空気バネ製品は、世界の自動車・鉄道関連メーカーへの豊富な供給実績を有している。
 素材別にはゴム関連製品とウレタン製品に分けられ、それぞれ化工品、自動車用部品を製造販売している。ゴム関連製品の化工品には防振ゴム、ガスメーター用ダイヤフラム(ゴム膜=サイレックス)、ゴム・樹脂ホース(バキュームホース、建築用コンクリートミキサー用ホース等)、免震ゴム、引布(オイルフェンス、ゴムシューター等)、シート防水などがあり、自動車用品は自動車用防振ゴムを製造している。
 ウレタン製品は硬質ウレタン(断熱材)の原液販売を行っており、

硬質ウレタンでは鶏舎、豚舎などの農畜産施設用硬質ウレタンフォーム「ガルダン」シリーズが業界トップシェアで存在感を示している。

 産業用防振ゴム
「産業機械用防振ゴム」 トーヨーダイヤマウントシリーズ は、あらゆる振動条件と防振設計上の要求を充分に満たす特性と、広い選択範囲の種類をもつ標準型防振ゴム。

 鉄道車両用防振ゴム
 円筒積層ゴム式
 車両台車の軸箱の両側に縦に設置。縦(上下)に柔らかく、左右(前後左右)に堅い防振ゴム。

 ガス計量膜(ダイヤフラム)
 ガス流域環境下でも耐久性の高い柔軟性に優れたゴム引布材料を使用寸法精度の高い加工が可能。ゴムと繊維を合わせたゴム引布で構成されており、ガスメーターの中でその振幅作用によりガスの流量を計量。

 建築用免震ゴム
 高減衰ゴム系積層ゴム支承
 ゴム分子間相互のエネルギー吸収能力を高めた特殊配合ゴムを使用した免震積層ゴム。
揺れ幅の制御に加えて、地震後の敏速な静止機能を持ち、ダンパー機能一体型で維持管理が容易。

 トーヨーガスホルダー
 ナイロンやテトロンを主体としたゴム引布を使用。形状(半球、球、シリンダー、ボックス)やサイズは、ガスの特性、用途に合わせて、柔軟に対応することができる。しかも、製作や設置、取り扱いがとても簡単。 ガス回収、ブリーザータンク、化学プラント、ストレージ、分離精製など、多彩な分野で活躍している。

 

 

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東洋ゴム ダイバーテック事業の現況


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