日本ミシュランタイヤ2013 年頭所感 ベルナール・デルマス社長

2013年01月16日

ゴムタイムス社

 2013年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。平素は格別のご愛顧とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
 ミシュラングループは欧州をはじめとする成熟市場の経済が減速する困難な環境においても、2012年を通じて好業績を示しました。一方、エコカー減税・補助金などの影響で乗用車用・トラックメーカー用ともに新車用タイヤが伸びる一方、補修用タイヤは前年の復興需要の反動による減少と早めの降雪による冬用タイヤの増加など独自の市場傾向が見られた日本においても、ミシュランは積極的に新製品を投入するとともに、タイヤ販売につながるブランド力を強化する新しい取り組みも展開しました。
 2012年第1四半期には、アメリカンクルーザー用「MICHELIN COMMANDER Ⅱ」、スクーター用「MICHELIN POWER PURE SC」、サーキット競技用「MICHELIN POWER CUP」の3製品を投入することで二輪車用タイヤのラインナップをさらに充実させました。2012年6月には、コスト削減と環境負荷低減効果を追求したトラック・バス駆動軸専用タイヤ「MICHELIN X MULTI 
D」を発売しました。2012年9月に発売した乗用車用スタッドレスタイヤ「MICHELIN X―ICE XI3」は2004年の発売以来ユーザーの高い満足度を得続けている「X―ICE」シリーズの第三世代として、アイス性能の更なる向上を第一に目指すとともに、潜在的ニーズである耐久性、省燃費性、静粛性をも高次元で実現することを目指して、世界3拠点の中の1つである日本の研究開発センターが開発を主導したグローバル製品です。
 これらの新製品に共通するのは、あるひとつの性能だけに優れたタイヤではなく、タイヤに求められるすべての性能を追求している、トータル・パフォーマンスに優れたタイヤであるということです。
 そして、その高いトータル・パフォーマンスを多くのお客様に実感していただく業界初のキャンペーンを2012年4月から9月まで実施しました。乗用車用タイヤ「MICHELIN Pilot Sport 3」および「MICHELIN Primacy LC」の購入者を対象とし、購入より60日間、お客様が万が一製品に満足されなかった場合、対象商品の購入代金を返金する「満足保証キャンペーン」です。ミシュラン製品の高いトータル・パフォーマンスを気軽に試せる機会として応募者から高い評価を得ることができたことから、改めて期間を設定し、第2弾「満足保証キャンペーン」を2012年10月から12月末まで実施しました。
 また、2012年10月には、ミシュランのライセンスビジネスで日本初となる自転車を、株式会社日直商会から「Vélo MICHELIN(ヴェロ・ミシュラン)」ブランドとして展開することを発表しました。日本の消費者にミシュランブランドをより身近な存在として感じて頂く機会を創出できると期待しています。
 モータースポーツにおいては、日本で最も人気のあるシリーズであり、タイヤメーカー同士が高いレベルで競い合うことができるSUPER GTのGT500クラスにおいて、ミシュランタイヤを装着する#46 S―Road MOLA GT―R(ドライバー:柳田真孝/ロニー・クインタレッリ両選手)がGT500クラスのドライバーズ/チームの両タイトルを獲得しました。2年連続でパートナーチームのチャンピオン獲得に貢献できた事を大変誇りに思います。
 日本で6年目を迎えたガイドブック事業においては、新たに「ミシュランガイド北海道2012特別版」を2012年4月に刊行しました。また、2012年11月には、現在日本で刊行されている4つのミシュランガイドのインターネットでの閲覧・検索を可能にするウェブサイト「ミシュランガイド・デジタル」のサービスを開始しました。
 また、トラック・バス用タイヤの「新品のロングライフ(Reduce)」「リグルーブ(Reuse)」「リトレッド(Recycle)」によりタイヤの持つ本来の性能をフルに使う独自のコンセプト「ミシュランの3R」の普及も進んでいます。タイヤの寿命を延ばし安全性も高めるリグルーブとリトレッドは、ユーザーの皆様にとってのコスト削減と、原材料の使用量を減らし廃棄タイヤを減らす環境への影響低減を同時に実現する取り組みです。リグルーブの普及とリトレッドの需要増が続く背景には、燃料価格の上昇など厳しい経済環境の中、イニシャルコストではなくランニングコストの削減を意識するユーザーの方々が着実に増えているという事実があると考えます。
 2013年も、ミシュランでは乗用車用タイヤならびに二輪車用タイヤの新製品をいくつか発表する予定です。いずれも「よりよいモビリティ」に貢献することを企業の使命としているミシュラングループの取り組みを体現した高いトータル・パフォーマンスを備えたタイヤです。また、特に乗用車用タイヤにつきましては、長期的なマーケットアクセスの強化を目的とし、ディーラーネットワークの拡大を積極的に図っていきます。タイヤ専業店、カーショップ、カーディーラーなど業態ごとのプログラムによる販売戦略面でのサポートに力を入れ、既存ディーラーとの関係を強固にすると同時に新規ディーラー開拓を進めていきます。トラック・バス用タイヤに関しましては、後輪に装着されている2本(ダブルタイヤ)を1本にするというコンセプトのシングルタイヤ「X One」の普及促進を図るとともに、引き続き「ミシュランの3R」に注力していきます。ミシュランは、世界のスタンダードである「ミシュランの3R」のコンセプトが日本でもさらに普及するよう取り組んで参ります。
 先進技術で世界をリードする自動車/機械メーカーの本拠地である日本は、ミシュラングループにとって大変重要な国です。また、日本のユーザーは製品の真の価値を見抜く目を持っています。その日本で、世界に3ヵ所ある研究開発センターのひとつとして研究開発を行う群馬県太田市の事業拠点は、ミシュランにとって今後さらに重要な役割を担っていきます。成長を続けるアジアをはじめとする新興国向けタイヤの研究開発強化ならびにアジアにある生産拠点への技術サポートのため、同センターを増強する取り組みを続けていきます。
 私たちは、すべてのミシュラン製品の根底に流れる「トータル・パフォーマンス」という基本理念へのご理解を頂けるよう、あらゆる分野の社員が一つになり、そのサービスの向上に努めていく所存です。
 本年も皆様から一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

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