新春TOPインタビュー 東洋ゴム工業

2013年01月08日

ゴムタイムス社

  ナノエナジーシリーズがフルラインナップで発売された東洋ゴム。グローバル展開をさらに加速させる中倉健二社長に2013年の方針を聞いた。

 ―2012年を振り返って。
 中倉社長
 円高で材料費が高いスタートとなった。当社は輸出比率が高いので影響を受けた。中国、マレーシアに工場を建設するなどの施策は打っていたが、それでは間に合わない状況だった。
 また、昨年の4月に東京本社を大阪に集約した。
 東京本社とあったが、管理部門など本社機能が大阪にあったため、営業部隊のコミュニケーショーンがうまくいかなかった部分もあったが、海外に関わる営業部門を大阪に集約し、非常にコミュニケーションが改善された。

 ―社内構造改革について。
 中倉社長 営業力の強化としてビジネスユニット制を取った。工場に利益が残るように販売価格を設定し、営業、工場、生産と連結利益でみるようにした。特にNITTOでは利益が残せたので、今後このやり方を展開していく。これから工場もできていくので、製販一体で最終営業利益を上げていきたい。

 ―海外の状況について。
 中倉社長 中国の新工場は8月にフル生産状態になり、中国向け商品も作っていたが、9月に尖閣問題があり、工場生産は半分に落ち込んでいる。新工場を動かすため、アメリカなどの他市場向けに切り替えて稼動させている。
 東南アジアはハイパフォーマンスタイヤしか展開していなかったが、マレーシア工場も稼動するので、今後は他社に負けずベーシックにも力を入れていきたい。

 ―決算について。
 中倉社長 売上は想定より130億円落ちている。アメリカと欧州が特に落ち込んでいる。要因は低価格志向に対応できなかったこと。当社はLCCの生産拠点がないので、ベーシックゾーンを取り逃した感がある。すぐに生産拠点を変えるわけにはいかないので、今年来年と辛抱しながらやっていきたい。
 利益については当初目標をカバーできた。
 これは原料のダウンと為替が想定よりよくなってきたことが要因。
 製品としてナノエナジー1を2月に、ナノエナジー0を6月に、2、3と合わせて発表し、ナノエナジーシリーズがフルラインナップで揃った。 国内については大きな商品になっていくと思う。海外でも欧州、オーストラリアなどで展開していきたい。

 ―技術について。
 中倉社長 茨木の研究所が手狭になっていたため、川西市に1万坪の土地を一部設備を有したまま入手した。今年の秋には披露できると思う。
 組織もピラミッドではなくフラットに変更し、若いリーダーを積極に採用する。実験設備も整い、大きな試作工場も設置する。伊丹タイヤ技術センターと近いので、緊密に連携ができると期待している。

 ―中国問題について。
 中倉社長 影響を受けているが、徐々に回復傾向にある。
 「東洋」は中国からみて日本を意味する、以前はハイテクの良いイメージだったが、今回は悪いイメージになってしまった。積極的な不買で、日本製品を排他するのではなく、日本製品を持っていると人に被害を受ける可能性があるという思いが強いのだと思う。
 タイヤもそうだが、外装に日本ブランドが出るものは、すぐに回復は難しいと思う。経過を見守っていくしかない。中国では利益が出ないことを想定しながら、他市場で利益を上げていく。

 ―13年度の見通しについて。
 中倉社長 今年はアメリカは良くなると思う。住宅着工件数も増加しているし、シェールガスにより優位点もある。需要も旺盛で、ライトトラック、SUVなどハイエンドなタイヤの引き合いが多い。その需要に応えるには、今後拡張が必要。
 欧州については、いかに耐えるかだと思う。欧州でもロシア、トルコは攻めていかないとならない。
 アジアはこれから本格的にやっていきたい。今年をアジア攻撃の最初の年としたい。
 日本では、東洋タイヤジャパンの構造改革が功を奏して、利益体質になった。今年はさらに国内に力をいれていきたい。

 ―非タイヤについて。
 中倉社長 化工品は独立採算制にし、切磋琢磨したことにより、黒字体質になった。ダイバーテックは集中と選択で残った事業が自動車部品の倍以上の利益を出すようになった。
 生産工場に販売をやっている者を配置したり、商品開発でもダイバーテックの技術を移行したり、チャレンジングな構造改革を行っている。今後は海外メーカーと連携して、東洋の開発技術を活かし、海外調達を進め、国内で販売していく。
 自動車部品は海外展開が重要。すでにタイヤで大きな投資を予定しているので、同じように大きな投資ができないため、アライアンスを中心に展開していく。既にタイ、メキシコはスタートしている。

 ―印象に残っていること。
 中倉社長 山中教授のノーベル賞受賞が印象に残った。技術を大事にしなければならないとの思いが強くなった。

 ―抱負について。
 中倉社長 自信を持って今までの施策をやっていきたい。来年のキャッチフレーズは「Keep Going」としたい。
 今までの路線をきっちりとやり、自然災害、人災などもあったが、このまま計画をキープして、構造改革、中計を確実に達成したい。

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