新春TOPインタビュー 東海ゴム工業

2013年01月01日

ゴムタイムス社

イタリア自動車用ホースメーカーを買収
海外事業戦略が加速

 新中期計画で15年度までの5年間を「変革と成長」の時期と位置づけ、「既存事業の持続的成長」「新市場・新分野への事業展開」「2020年に向けた事業基盤の確立」を図る東海ゴム工業。西村義明社長に13年の経営課題を聞いた。

 ―2012年を振り返って。
 西村社長
 1月―3月は昨年の東日本大震災、タイの洪水の復興需要等で順調に推移し、4月以降も比較的堅調に推移していたが、9月の中国問題もあり、2012年は厳しい年であったと感じる。しかしながら、2011年の円高、タイの洪水の影響、欧州経済やアメリカ経済の低迷等、2011年と2012年を比較すると、気持ち的に少しは明るいと言えるのではないか。足元の業績は中国問題の影響で変わってきている。自動車以外のお客様で日中問題の影響も受けているところもあり、高圧ホース等も建機も落ち込み、思っていたよりも厳しい状況になっている。しかし、中国経済は7~8%増の成長をしているので、自動車は生産がまだ回復していないが、販売台数は回復してきており、建機関連も来年の2~3月には回復する傾向になるのではないか。2013年は全般的に自動車は回復していき、建機関係も回復していくと予測する。

 ―中期経営計画について。
 西村社長
 2015年度までの中期経営計画「2015年 TRI GROUP VISION(以下15V)」では、2012年と2013年は仕込みの年だと思っている。

まだ力を蓄えるための準備の年。欧州経済も少しずつ回復しつつあり、それに期待しつつ、2012年の先行投資に引き続き、2013年は15Vに向けた仕込みの最終段階になるだろう。全体としては、当社の15Vに向けた3つの戦力「既存事業の持続的成長」「新市場・新分野への事業展開」「2020年に向けた事業基盤の確立」に従って、ほぼ順調にきており、2014年には2012年・2013年に先行投資した成果が問われてくると思う。その上で、事業基盤整備、グローバルインフラの整備、人材育成の強化、企業ブランド・商品ブランドの構築によるコーポレートブランドの確立にさらに注力していく。また非日系への展開、一般産業用の事業拡大を図るためにはコーポレートブランドを確立していかなければならない。

 ―海外事業戦略については。
 西村社長
 12月17日に発表したイタリアの自動車用ホースメーカーのDYTECH社の買収がある。当社では初めて行ったM&Aであり、DYTECHH社の強みはモジュールの設計・開発力や欧州・南米での強固な販売網、製品ラインナップが豊富な点であり、今回の買収でグローバル相互補完体制を整備していく。今回の買収価格は約70億円。また同日にインドの大手ホースメーカーのIAI社との間で建設機械向け高圧ゴムホースの合弁事業の開始もある。こちらは産業用ホース事業の海外拠点として、2004年設立の中国、2013年稼働開始予定のロシアに続く3カ所目。インドの道路や港湾、電力などのインフラ整備が急速に進んでいることを見込み、IAI社と合弁事業を開始した。新会社は高圧ゴムホースの生産から組み立てまでを一貫してインドで行うのは日系企業では初めてとなる。 今後もM&Aを含めた設備投資はいい案件があれば15Vでは500~600億円の予算を考えているので進めていきたい。―非自動車分野での新市場・新分野への事業展開を加速させているが。 西村社長 自動車以外の分野も今以上に強化していく。産業ホースはロシア、インドへ事業展開することは決定している。また高性能遮断熱フィルムの「リフレシャインシリーズ」も引き合いも増えてきているので拡販していきたい。さらに音波の発生部分にゴムのみを使用したオールゴムのスピーカー「スマートラバースピーカー」も販売強化していく。

 ―2013年の経営課題は。
 西村社長
 15Vのビジョンは「変革と成長」だが、2013年のキーワードにはダイバーシティ(多様性)を追加した。海外グループ会社との連携を図る上でも異文化を理解して多様性を向上させていきたい。そのためにもグローバルな人材育成と人材確保が課題になってくる。2013年3月には研修センターを国内に設立する計画でいる。研修ではグローバル研修等を行い、グローバルな人材を育成していく。

西村社長

関連キーワード: