ブリヂストン 狭幅・大径のコンセプトタイヤ開発

2013年03月10日

ゴムタイムス社

 ブリヂストンは5日、これまでのタイヤとは全く異なる新カテゴリーの狭幅・大径サイズ「ラージ&ナローコンセプトタイヤ(LNCタイヤ)」の記者発表会を開催した。
 発表会では、坂野真人タイヤ研究部長が出席し、技術説明を行った。
 今回開発に成功した技術は、タイヤサイズをこれまで無かった狭幅・大径サイズ化(タイヤ幅を狭幅化、タイヤ外径を大径化)すると共に、使用空気圧を高内圧化へと変更し、従来とは別次元の技術イノベーションにより「断トツの低燃費を実現する」としている。
 開発コンセプトについては、「従来のエコタイヤでは転がり抵抗の低減を主にした取り組みが行われてきたが、これにプラスして車両の空気抵抗低減を加え、合わせ技で低燃費達成を目指した」(坂野氏)と語った。
 今後低燃費タイヤ「ECOPIA」ブランドの新カテゴリーとして次世代自動車への新車装着など早期実用化を目指す。
 新技術の環境性能面では、タイヤを大径化・高内圧化することにより、路面と接地する部分の変形を大幅に抑制させた。
 タイヤが回転する時に発生するひずみエネルギーの約60%がトレッドとベルトで占めると言う。
 従来のエコタイヤではトレッドゴムの低ロス化と軽量化を主に転がり抵抗の低減を図ってきたが、LNCタイヤではこれらに加えて狭幅・大径・高内圧の相乗効果によって変形(ひずみエネルギー)を抑制させた。「タイヤの外径を大きくするとタイヤが描く弧が直線に近くなり、接地した際のタイヤの変形が少なくなる。それが大径である必要性。さらに空気圧を高くすることで変形そのものを小さくする」(坂野氏)
 さらに狭幅化することにより、車の燃費向上に関わる重要な特性である空気抵抗を低減させた。
 エコタイヤとLNCタイヤを比べた場合、どちらもタイヤ空気圧を高めていくと転がり抵抗が良くなるが、「LNCタイヤの方がより転がり抵抗がよくなるという傾向を発見した」(坂野氏)。
 どちらのタイヤも320kPaまで空気圧を高めた場合、エコタイヤでは約14%転がり抵抗が下がるところ、LNCタイヤでは24%下がった。
 さらに専用設計により最適化技術によって30%まで転がり抵抗位低減させることが可能になった。
 また、狭幅化による空気抵抗減は、60キロ走行時で、タイヤ転がり抵抗4・5%減に相当する見込みで、空気圧での転がり抵抗減30%と合わせて計35%の転がり抵抗減になる。
 「これは実燃費でも5%ほどの燃費改善にあたり、実際にお客様が体感できる効果に相当するのではないか」(坂野氏)と自信をみせた。
 安全性能面ではタイヤを狭幅化することで、雨天走行時などに路面上の水から受ける抵抗を低減。  また、路面と接する部分の形状を長く、且つ接触圧力を高くする専用形状設計によりタイヤと路面間の排水性を向上した。 新たに開発した専用パタン・専用コンパウンドの効果と併せて従来品対比、ウェット制動性能を約8%向上しており、高い安全性能を確保している。
 今後について坂野氏は、「このタイヤを世に出すためには自動車メーカーの協力は不可欠。長年の開発の中で複数の自動車メーカーに提案させていただいており、近々このタイヤを装着したクルマが登場する。それをきっかけに、私どもとしてはカーメーカーとの共同開発をさらに推進していき、適応製品を拡大させていき、ブランディングも含め新しいカテゴリーを世に出したい」と展開方針を述べた。
 まずは新車装着から導入し、補修用に広げていく予定。
 高い空気圧によって乗り心地やロードノイズといったデメリットがあるものの、これらは自動車メーカーとの共同開発、専用設計により解決しているという。
 ターゲットは、エコカーをメインに考えており、装着するには専用ホイールが必要になる。
 なお、「ラージ&ナローコンセプトタイヤ」は5日より開催される「ジュネーブモーターショー2013」の同社ブースに展示を行う。