新春トップインタビュー ブリヂストン 

2014年01月04日

ゴムタイムス社

ブリヂストン 新春トップインタビュー 経営改革に改めて手応え 部門間の垣根外し全体最適目指す

 ブリヂストンの津谷正明CEOと西海和久COOは昨年末に東京中央区の本社で記者会見し、2013年を振り返るととともに、ファイストン買収25周年を機に「真のグローバル企業」を目指して着手した取り組みやタイヤ市場の展望、経営改革などについて語った。

 ―13年を振り返って。

津谷CEO(右)と西海COO

津谷CEO(右)と西海COO

 津谷CEO ちょうど1年前に「いいスタートが切れた。経営改革に手応えを感じている」と話した。それから1年が経ち「自分たちがやっていることは正しい」という思いを強めている。

 特に13年は、ブリヂストンがグローバル化に向けて大きな一歩を踏み出した、ファイアストン買収から25周年ということで、行事を含め、いくつか新しい手を打った。

 その一つが、9月に米国ナッシュビルで開催したグローバルTQM大会だ。海外で行うのは初めてで、せっかく米国でやるのだから、基本的に英語でプレゼンテーションするようにしたところ、素晴らしいできだった。

 当社は英語の社内公用語化を進めているが、この成果も、その自信を深める一例となった。

 11月半ばに新社屋が完成し移転した。地に足をつけ、足場を見失わないように気を引き締めて、改革を進めていきたいと改めて感じている。

 西海COO 13年の事業展開について話したい。タイヤ事業ではインドの第2工場であるプネ工場でPSRの生産をスタートした。年明けからTBRの製造も始める。

 ベトナムでは2万5000本の第1期工事に続き、2万4000本を増強する計画を10月に決定。中国の無錫でも増強を決定した。

 ロシアのウリヤノフスク州に工場の新設を決定。タイでもORRの大型と中小型の新工場建設を発表している。

 また、現場のニーズを反映させた研究開発体制を構築するため、タイにテクニカルセンターを設立し、活動を開始した。

 化工品事業に関しては、競争力のあるコンベヤベルトの事業が将来も伸びていくということで、横浜工場に続き、タイでコンベヤベルトの生産を決定。同時に、自動車メーカーが進出しているメキシコに、自動車シート用ウレタンフォーム工場の新設を10月に決定した。両工場とも15年春には生産をスタートさせる計画だ。

 中国では点在していた電材とウレタンの事業所を開平に統合した。

―グローバル化を進めているというが、経営層のグローバル化は。

 津谷CEO 本社の常務には米国人2名と欧州人1名がおり、段々増えていくと思っている。

 またSBU体制再編の中で、例えば米州ではCEOが米国人、COOがアルゼンチン人となっている。このように、それぞれの市場で、ビジネスを牽引するのは現地の人間が望ましいと思っているので、それに向かって段階的に進める。

―14年の世界のタイヤ市場はどう動くと見ているか。

津谷CEO

津谷CEO

 津谷CEO 世界的にはまだら模様だと思っている。当社にとって心強いのは、世界最大の自動車市場である米国の経済回復が進んでいること。

 あるいは中南米もそれなりに伸びてくると思う。欧州も一旦底を打ったようで、当社のビジネスもそれなりに回復基調を示している。

 一番分かりにくいのはアジアで、タイの政情不安、中国の新しい改革などがどう自動車とタイヤ事業に影響を与えるかを注視している。

 日本についても成長戦略などに関連して、どの程度動くか見ていくことになる。

―タイヤと非タイヤの部門を超えた事業展開の現状について。

西海COO

西海COO

 西海COO 組織的な縦割りが長い歴史の中で構築され、結果として化工品部門とタイヤ部門が同じ会社の中にありながら、あまり交流がないという状況だった。

 例えば同じ顧客のところに、それぞれの部門の社員が別々に行っているということもあった。それを共同してやっていこうということで、社内用語で「ルネッサンス活動」と呼んでいる活動を開始した。具体的にはプロジェクトをいくつか組み、この市場で一緒に取り組むという目標を決め、進めている。

 ブリヂストンスポーツやブリヂストンサイクルといった関連会社についても、これまではそれぞれ自分たちでできることをやってきたが、今はタイヤの中央研究所やデザイン、イノベーション、マーケティングなどの部門の知恵を借りる動きが出てきた。このように垣根を取り払って、全体最適で結果を出していきたいと思う。

―14年の抱負を。

 津谷CEO ファイアストン買収25周年記念の記者会見でも話したが、25年前にファイアストンを買収した際、当時の経営者は第2の創業ということを熱く語った。私たちはその思いを引き継いでいるつもりだ。

 それが「真のグローバル企業」にブリヂストンを変え、「業界において全てに『断トツ』を目指す」ということに繋がる。その手応えを今改めて強く感じている。

 気を緩めずに継続的に改善を続け、自分たちを叱咤激励して、さらに上を目指していく。

 

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