横浜ゴム2014 年頭所感 野地彦旬社長

2014年01月08日

ゴムタイムス社

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 昨年の世界経済は、債務問題で低迷していた欧州にようやく底打ち感が出て、米国では消費が緩やかに回復しました。しかし、中国では経済成長が減速するなど、全体では未だ先行き不透明な環境が続いています。一方、我が国経済は為替円安の影響もあり、回復基調となりました。
 2014年については、米国経済は引き続き緊縮的な財政政策の影響を受け不透明感があるものの、緩やかな回復が見込まれています。欧州経済は引き続き回復の勢いに乏しい状態が続く見込みです。中国経済は景気てこ入れ策などにより、安定成長が見込まれます。一方我が国経済は、米国経済回復による輸出の持ち直し、日銀の金融緩和を受けた円安、株高の進行、消費税増税に対する駆け込み需要とそれに伴う経済対策の効果、震災復興などから、引き続き拡大する見通しです。しかし、様々なリスク要因も抱えており、状況は流動的で予断を許さないものがあります。
 2014年度は中期経営計画「GD100」の「フェーズⅢ」の最終年度となり、テーマに掲げた「強くしなやかな成長」の下、環境変化にフレキシブルに対応していく方針です。
 タイヤ事業においては、「フェーズⅢ」期間中に735万本の生産能力増強を目指し、総計6674万本、海外生産比率45%を計画しています。そのため、フィリピン、中国、タイ、ロシアの海外生産拠点の増強を継続して実施し、さらにインド工場での生産開始を計画中です。また、米国ミシシシッピ州にトラック・バス用タイヤ工場を建設し、2015年10月に年間生産能力100万本からスタートする計画です。こうした一連の増強計画、新規投資に関しては、状況変化に細心の注意を払い、柔軟かつ大胆に対応していく考えです。
 「高付加価値商品のグローバル展開」については、グローバルフラッグシップブランドである「ADVAN Sports V105」の世界のプレミアムカーへの新車装着の拡大と低燃費タイヤ「BluEarth」ブランドのグローバル展開を強化する考えです。
 また、韓国のクムホタイヤとの間でタイヤに関する技術提携及び資本提携の実施に向けて協議することを基本合意しました。この目的は、両社の将来の成長に向けた戦略的な一手であり、将来のタイヤに関する両社の研究開発投資を集中させることにより、効率的に開発を進めるということです。両社で共同して行うことで、2倍の規模のメーカーと伍する研究開発投資が可能となると考えています。
 MB事業に関しては、将来、海外売上高比率を現在の約40%から50%に引き上げる計画です。この目標に向け、中国で油圧用高圧ホースの生産拠点を設立し2014年上期の操業開始を計画しています。また、メキシコでのエアコン用ホースの生産については2014年夏から稼動する計画です。そしてインドネシア・バタム島に海洋商品の新工場を建設し、2015年6月から生産開始を計画しています。さらに、2014年度中にホース・アッセンブリーを行っていた平塚東工場を、継手金具の製造を行う長野工場に統合し設備の移転を完了させる計画です。
 この「フェーズⅢ」の目標を達成するとともに、「GD100」の最終章となる次の「フェーズⅣ」の2015年から創立100周年となる2017年までのテーマ、事業戦略、財務目標を作成し、「企業価値・市場地位において、独自の存在感を持つグローバルカンパニー」を目指していきます。
 私は横浜ゴムを「個性と文化を備えたグローバル企業」にしたいと考えています。グローバル企業として成長するに伴い重要度が増すコーポレートガパナンスやCSRを強化しつつ、当社の個性と文化をしっかりと醸成し、世界で認められるグローバル企業として成長していきます。
 本年も引き続き、ご指導ご鞭連を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

関連キーワード: