ブリヂストンは5月8日、東京都小平市の同社技術センターで、次世代低燃費タイヤ技術「ologic」の技術発表会を開催し、同技術の開発に貢献した新しいタイヤ開発技術「アルティメットアイ」施設を公開した。
タイヤ開発にあたって重要なのは、タイヤが路面に接地しているところで何が起きているかということだが、これまではシミュレーションに頼るしかなかった。
これを解決したのがアルティメットアイである。最先端のシミュレーション技術と、タイヤ踏面の挙動を計測・可視化するシステムを組み合わせることで、実走行状態のタイヤの接地面の挙動を解析することが可能になった。
同日、説明を行った桑山勲タイヤ研究本部操安研究ユニットフェローによれば「考え方はそれほど難しいものではないが、実行するには大規模な施設やコンピューターなどが必要」であり、さらに高性能のセンサーや膨大なデータを高速で処理する技術などが開発されたことで、初めて実現したものだという。
タイヤ踏面の挙動を計測・可視化するシステムは、主に「超小型接地反力センサー内設ドラム」「高機能タイヤスタンド」「超高速データ計測・処理装置」「ホイール6分力計」で構成されている。
超小型接地反力センサー内設ドラムでは、ドラムの表面に埋設したセンサーで、タイヤの表面を計測する。乗用車用からトラック・バス用、レース用まで直径2m以下であれば、どのようなタイヤについても最高速度400km/hまで対応することができる。
高機能タイヤスタンドは、タイヤの姿勢角を制御することで、実車走行状態を再現。超高速走行データ計測・処理装置では、高速走行時の動的データを高分解能で高速処理する。ホイール6分力計では走行中のタイヤ軸力と接地反力を同時に計測する。
これにより、高速走行時の接地挙動を世界で初めて可視化することに成功し、画期的な超低燃費タイヤを開発することに繋がった。
今回、敢えて同施設を公開したことについて、坂野真人タイヤ研究本部長は「従来タイヤと寸法が全然違うので、ologicを世に広めるには、カーメーカーに興味を持っていただくとともに、メディアを通じて世の中に広く知っていただく必要があるため」と述べていた。