東洋ゴム 断熱用硬質ウレタンフォームを積極展開

2014年08月29日

ゴムタイムス社

 東洋ゴム工業は8月28日、ダイバーテック事業セグメントにおいて硬質ウレタン事業を展開するソフランウイズが、地球温暖化係数の低い次世代発泡剤(ハイドロフルオロオレフィン、HFO)を用いた硬質ウレタンフォームを市場に本格的に展開していくと発表した。

 硬質ウレタンフォームは、ポリイソシアネート、ポリオールを触媒、発泡剤、整泡剤などと混合して製造する発泡プラスチックで、泡化反応と樹脂化反応によって発生する均一の小さな硬い気泡の集合体。これらはそれぞれ独立した気泡となっており、気泡中には熱を伝えにくいガスが封じ込められている。

 この気泡によって優れた断熱性能を発揮する同素材は、防露・保温・保冷・凍結防止といったさまざまなニーズを満たすことから、家庭用・業務用冷蔵庫や住宅用断熱建材、また、超低温設備などの各種用途に活用されている。

 ソフランウイズは、昨年、地球温暖化係数の大幅低減を実現した次世代発泡剤(HFO、地球温暖化係数=代替フロンの約1/1000)を用い、代替フロン同等の断熱性能と強度を実現する硬質ウレタンフォームを開発した。開発後、ソフランウイズは、建築断熱用吹付け工法や農畜舎向け断熱パネル製品、各種産業用硬質ウレタン原液向け等において、実用試験を行い、代替フロン同等の断熱性、強度について検証できたことから市場への導入を本格的に展開する。

 断熱用ウレタン製品の国内市場販売のトップシェアを有するソフランウイズから地球温暖化係数の低い次世代発泡剤(HFO)を積極導入していくことにより、同社は、ダイバーテック事業において地球環境に配慮した製品、工法の展開と温暖化抑制に貢献していくとしている。

 フロン(特定フロン)は不燃性があり蒸発しやすく、人体に毒性がない性質を持つ発泡剤として1928年に開発され、断熱材などに用いられる硬質ウレタンフォームの発泡剤に用いられていた。1974年、「特定フロンが大気中に放出されると地球の成層圏まで上りオゾン層を破壊する」というメカニズムが米国で発表され、与える影響が地球規模のものであることから国際的な議論に発展した。1987年、「モントリオール議定書」が採択されて以来、オゾン層破壊と地球温暖化への影響を抑制するため、発泡剤には代替フロンを用いる取り組みが行われている。2004年以降、日本国内においても、地球環境に配慮した発泡剤として代替フロンが用いられるようになったが、代替フロンは特定フロン同様に、強力な温室効果ガスとされており、現在、日本ウレタン工業協会は、代替フロンが地球温暖化を促進する物質であるとして自主的な排出抑制対策をとっている。

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