ブリヂストン グアユール加工研究所の竣工で説明会開催

2014年11月10日

ゴムタイムス社

 ブリヂストンは10月31日、竣工式を9月に行った米国アリゾナ州のグアユール加工研究所「バイオラバープロセスリサーチセンター(BPRC)」に関する説明会を都内で開催した。

 森永啓詩・環境企画推進部長と小澤洋一・タイヤ材料開発第一本部フェローが出席し、小澤フェローがグアユール研究活動の背景を改めて説明するとともに、BPRCの概要と活動の進捗状況を紹介した。

 世界の自動車保有台数の増加に伴い、今後もタイヤ需要の拡大が見込まれまれる中、同社グループでは天然ゴム産出地域の一極集中を緩和するため、新たな天然ゴム供給源の研究開発を進めている。

 グアユールは米国南西部からメキシコ北部の乾燥地帯が原産の低木で、幹部に天然ゴムを含んでいる。熱帯地域を原産とするパラゴムノキとは生育する地域が異なり、天然ゴム供給源の多様化が期待できることから、利用に関する研究活動を行うことになった。

 同社がグアユール研究開発への取り組みを発表したのは2012年。同年中にマイルストーンを設定するとともに、研究農場とBPRCの用地を取得した。昨年10月には研究農場が完成し、今回、BPRCが竣工となった。

 同施設では、まず収穫した植物体を粉砕し溶液を作る。これに化学溶媒を加えてゴムを抽出。ここから木質を除去した後、さらにゴムと樹脂を分離して天然ゴムを得る。木質と樹脂は燃料などの用途として有効活用し、化学溶媒はリサイクルして再利用する。

 原料となるグアユールについては現在、研究農場で品種改良と農法の開発を行っている。長期的には、最終目標である地域の栽培農家にとって魅力ある経済作物としての地位を確立するため、支援体制の整備も進める方針だ。

 加工技術に関しては、最終目標である安全性・経済性・ゴム品質を満たす実用加工プロセスの具現化を目指し、安全連続運転の実証や生産性・効率の最適化、原料ゴムとしての品質確立、タイヤでの検証などに取り組む。

 計画では来年、フル生産とタイヤテストを開始し、16年末に検討規模を拡大するか否かを判断。20年代前半の実用化を目指している。

 小澤フェローはBPRCについて「タイヤ試験が目的ではなく、将来、経済的なプロセスが組み立てられるよう、スケールダウンした商業プロセスのつもりで造った」と述べ、単に研究するだけの施設ではないことを強調した。

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