【新春トップインタビュー】住友ゴム工業 池田育嗣社長

2015年01月01日

ゴムタイムス社
  • 池田育嗣
  • 代表取締役社長
  • 住友ゴム工業
  • 中長計達成へ「勝負の年」
  • 「新市場への挑戦」を加速
  • 池田育嗣 社長

 「真のグローバルプレイヤー」を目指し、積極的な事業展開を図る住友ゴム工業。「VISION 2020」に向け、「極めて重要な年」と位置づける15年度について、池田育嗣社長に事業方針等を聞いた。

◆14年を振り返って

 国内タイヤ事業では、2月に「長持ち」という新たな価値を加えた第2世代の低燃費タイヤ「エナセーブEC203」を発売。9月には08年から開発を進めていた50%転がり抵抗低減タイヤを「エナセーブNEXT」として上市、ラベリングで最高ランクの「AAA―a」を獲得した。

 また「エナセーブ」シリーズによる環境負荷低減のための取り組みや、技術力に高い評価をいただき、国内外で多くの賞を受賞させていただいた。

 さらに次世代新工法「NEO―T01」で製造したプレミアムランフラットタイヤ、ダンロップ「SP SPORT MAXX 050 NEO」とファルケン「AZENIS FK453 RUNFLAT」をそれぞれ日本、欧州で発売するなど、当社の強みである環境配慮商品の拡充に努めた。

◆産業品事業について

 ファインラバーのべトナム工場増産により、OA機器メーカーの要求に対応する体制が整った。それに加え、制振およびクリーンラバーの成長3商材は確実な成長を継続している。ヘルスケアビジネスでは、新しく医療用検査機器関連の合弁会社を立ち上げた。また体育施設等のインフラ事業も好調に推移し、人工芝では耐久性を追及した「ハイブリッドターフEX」を発売した。

◆海外事業について

 「新市場への挑戦」として、13年から稼働した南アフリカ工場での本格生産および販売を開始。14年4月には農業機械用タイヤのタイ第3工場を稼働させた。

 さらに、今年7月の稼働開始を目指してトルコ工場の建設も進んでいる。トルコは今後大幅な市場拡大が見込まれる中東・北アフリカ・ロシア等の新興市場、および欧州市場向けの供給拠点として非常に重要。今年からタイヤの試作を行い、本格生産の準備に入る予定だ。

 なお、グッドイヤー社とのアライアンス仲裁問題については、内容や経緯はまだ何もお答えできない。ただ、これをきっかけに、社内では「ファルケン」ブランドをより強くしていかなければという意識が高まった。全世界で「ファルケン」のブランドバリューを上げていきたい。

◆15年の景況について

 国内経済は景気回復がもたつきを見せているが、20年の東京オリンピック開催に伴う設備投資の増加など、新たな経済効果も期待できる。為替は円安傾向が継続し、原材料も比較的低位安定で推移すると想定され、輸出環境については引き続き追い風と見ている。

 海外では、北米における緩やかな景気回復が継続する一方で、欧州は足踏み状況、中国では成長のスピードが鈍化し、成長を遂げてきた新興市場が減速するなど、世界経済は全般的に停滞感が高まる見通しだ。

 自動車業界では、国内新車販売の不振に加え、海外生産の拡大により、日本での生産活動につながらなくなっている。海外では、主要マーケットである米国が好調であることから、15年以降は、北米における取り組みが業績に大きな影響を及ぼすだろう。加えて、各市場では競合他社の攻勢に加え、新興メーカーとの競争が一層激しさを増すことが想定される。

池田社長

池田社長

 こうした厳しい状況にはあるが、15年は当社にとって極めて重要な年だ。「VISION 2020」 の中間目標として掲げた売上高9400億円、営業利益1000億円の確実な達成に向け、グループの力を結集し、決意と覚悟を持って取り組まなければならない「勝負の年」だと考えている。

◆15年の方針は

 「VISION 2020」で掲げた「Go for Next~真のグローバルプレイヤーになる~」ことを目指し、次の3点の方針を定めた。

 第一は「基本に立ち返り、成長の基盤を固めよう」。モノづくりの会社として「安全と品質」といった基本の「確実さ」が「信用」につながることを、社員一人ひとりが強く意識する事が重要と考えている。「信用と確実」の基本となる「ルールを守る」、「お客さま目線を持つ」ことを常に意識し、「安全の確保と品質の向上」といったモノづくりの基本に立ち返り、当社の強みである技術カと団結力を持って、お客様の幸せと地球環境をはじめとする社会問題の解決に貢献したい。

 第二は「各部門の知恵を結集し、新たな価値を創造しよう」。モノづくりの世界では、変化を敏感に感じ取り、技術革新に先んじた者が勝者になる。タイヤ業界において今後も勝ち抜いていくためには、これまで以上に「新たな価値」をお客様に提案していく必要がある。過去のしがらみにとらわれない新鮮な目線を大切にし、当社グループのノウハウを結集して「新たな価値」を生み出して行きたい。

 第三は「一段上を目指して、自らを高めよう」。組織力の強化・向上のためには、社員一人ひとりの成長が不可欠だ。こだわりを持って仕事の成果および質の向上を追求しながら、「お客様に満足して頂きたい」という意識を常に待ち、世の中の動きを敏感に捉え、昨日より今日、今日より明日と「一段上を目指して」成長させていくことが必要だと考える。また、個性を活かしつつプロ意識の高い人材を育てるために、職場の上司、部下の間で自由開達な発想が飛び交う、真に「風通しの良い職場」作りを目指していきたい。

〈アングル〉
 14年の点数を「80点」とつけた池田社長。4年連続過去最高益の更新が見通せる中、「もっと上を目指していた」とも。ビハインドとなっている事業分野を、今後いかに伸ばしていくかが15年の肝になると語った。

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