年頭所感2015 横浜ゴム 野地彦旬社長

2015年01月12日

ゴムタイムス社

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 米国経済は雇用情勢の改善を背景に緩やかな回復が続き、欧州経済も回復力は弱いものの、ドイツや英国に牽引される形で全体としては持ち直しており、次第に上向きの動きが定着しつつあると考えています。

 一方、中国経済の拡大のテンポは緩やかになっており、それに伴って一部の新興国では景気減速の動きも見られます。

 わが国経済は消費税増税の先送りや日銀による追加金融緩和によって、内需へのプラスの影響が出るものの、為替円安による影響、物価や景気の下振れリスクなど不透明感があります。

 こうした中にあって、当社は中期経営計画「GD100」の最終章となる「フェーズⅣ」をスタートさせます。最終年度となる2017年には売上高8500億円、営業利益1000億円を達成することを目標に取り組んでいきます。

 フェーズⅣの詳細については、この春に発表する予定ですが、この計画達成に向け、タイヤ事業ではさらなる生産能力増強を計画しています。

 そのため、海外生産拠点の増強を継続して実施し、新たな米国ミシシッピ州のトラック・バス用タイヤ工場で、10月から年間生産能力100万本でスタートする計画です。

 こうした一連の増強計画・新規投資に関しては、状況変化に細心の注意を払い、柔軟かつ大胆に対応していく方針です。

 商品についても、グローバルフラッグシップブランド「アドバン」の世界のプレミアムカーへの新車装着の拡大と、低燃費タイヤ「ブルーアース」ブランドのグローバル展開を強化することを考えています。

 「アイスガード」ブランドについても、研究開発に力を注ぐため、従来の「ティー・マリー」の4倍の敷地面積となるテストコース用地を旭川に取得し、15年末から運用を開始する計画です。これにより、さらに高速でのテストが可能になり、より高性能なタイヤ開発に結び付くことになります。

 MB事業に関しては、将来、海外売上高比率を現在の約40%から50%に引き上げる計画です。

 この目標に向け、インドネシア・バタム島の海洋商品の工場を6月から稼働させる計画で、マリンホースについては買収したイタリアの生産販売会社を合わせ、日本・イタリア・インドネシアの3生産拠点体制を確立し、さらなる拡販を進めていきます。

 韓国のクムホとの提携については、昨年5月、タイヤに関する「共同研究開発契約」と「ライセンス及び技術交換契約」を締結しました。

 両社の将来の成長に向けた戦略的な一手であり、20~30年先のタイヤビジネスを見据えた長期的技術戦略の一環として行うものです。将来のタイヤに関する両社の研究開発投資を集中させることで、効率的に開発を進めていく方針です。

 現在、超軽量タイヤなどの環境対応技術や新たなコンセプトのタイヤなどを、それぞれ別のテーマで研究・開発し、それをある時期に合体する形で進めています。

 15年度は中期経営計画GD100の最終章であるフェーズⅣのスタートとなります。そしてこのフェーズⅣの最終年は、創立100周年となる2017年です。

 まずは、このフェーズⅣのテーマ・事業戦略・財務目標を作成し、「企業価値・市場地位において、独自の存在感を持つグローバルカンパニー」を目指したいと思っています。

 弊社は1917年の創業以来、タイヤをはじめ工業用品、スポーツ用品など、様々な製品を世に送り出してきました。

 100周年を間近に控え、グローバル企業としてさらなる成長を遂げていくためにも、これまで以上に世界からの確かな評価を得なければなりません。

 そのためには「安全」の思想と「環境」への最大限の配慮を行うことで、基本理念である、心と技術をこめたモノづくりにより、幸せと豊かさに貢献したいと考えています。

 本年も引き続き、ご指導ご鞭連を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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