横浜ゴム 野地社長が中計フェーズⅣ説明 世界OE市場などに注力

2015年08月11日

ゴムタイムス社

 横浜ゴムの野地彦旬社長は8月10日、本社で開催した2015年度第2四半期連結決算説明会の中で、中期経営計画「GD100」フェーズⅣの主な成果と今後の取り組みを説明した。

 フェーズⅣでのタイヤ事業戦略の1つ目の柱はグローバルOE市場への注力。新車装着タイヤの納入増強に加え、海外納入比率を高めていく。14年の新車装着タイヤの海外納入比率は35%だったが、20年には70%まで高める。

 2つ目の柱が大需要・得意市場でのプレゼンス向上。17年の世界のタイヤ需要予測は19億8700万本とされている。このうち大きな需要を占める北米、欧州、中国に加え、得意市場である日本、ロシアで販売を強化していく。

 その強力な武器となるのが、世界に5億900万人のファンがいると言われる、イングランド・プレミアリーグの強豪チェルシーFCとのスポンサー契約だ。7月から5年間、同チームのユニフォームの胸に横浜タイヤの名前が入ることで、世界的に知名度が向上することが期待される。

 フェーズⅣでは、ポストGD100を見据えてタイヤ生産能力の増強も進めている。総額1200億円を投じ、世界でのタイヤ生産能力を、14年の6800万本から17年には7400万本、20年には8900万本まで引き上げる。

 現在、フィリピンと中国のタイヤ工場で生産能力の拡張工事を進めているのに加え、10月からは米国ミシシッピでTBタイヤの生産開始を予定。さらに北米、ロシア、欧州、中国で今後の工場新設・拡張を検討している。

 タイヤ事業戦略の3つ目の柱は、生産財タイヤの事業拡大。北米ではTB用タイヤ工場の稼働により、地産地消のさらなる拡大を図るほか、今後も需要が見込まれる49インチ以上の超大型ラジアルの開発・拡販に取り組む。

 こうした生産財事業の強化に向け、3月にTB事業部とOR事業部を統合して、タイヤ生産財事業本部を設立し、意思決定の迅速化と事業効率の向上を図っている。

 MB事業戦略の1つ目の柱は、自動車部品ビジネスのグローバル展開。すでに自動車用配管ホースは5ヵ国、自動車窓枠用接着剤は4ヵ国に生産拠点を置いている。これをさらに強化する。

 また、国内生産体制を強化するため、現在2ヵ所にある長野工場を16年末をめどに統合する。

 新製品投入にも力を入れ、欧州で普及が進むカーエアコン用新冷媒に対応したホースを開発した。すでに日系自動車メーカーの欧州向け自動車で採用が進んでいる。

 2つ目の柱は海洋商品でナンバーワン・カテゴリーを拡大すること。マリンホースや防舷材など海洋商品は、世界シェアトップを争う得意商品だ。

 さらに事業拡大を図り、今秋にはインドネシア・バタム島で、新たにマリンホースと空気式防舷材の生産工場が順次生産を開始する。この結果、マリンホースは3ヵ国、防舷材は2ヵ国の生産体制が確立することになる。

 3つ目の柱はグローバルでの建機・鉱山ビジネスの強化。長期的に拡大が見込まれる世界の資源開発に対応し、建設機械用高圧ホースをグローバルに拡販する。また先端技術を活用した高耐圧性能や環境性能に優れたコンベヤベルトを拡販していく。

 上期には極寒地向けコンベヤベルトを発売した。より過酷な自然環境下で行われる資源開発に特化した製品開発により、新たな市場開発を進める。

 4つ目の柱は独自技術を生かした地域事業の拡大。今後普及が見込まれる燃料電池自動車向け水素ステーション用ホース、世界的に急増するスマートフォン向けハードコート材など、新規分野に積極的に進出する。

 今年から本格的に販売を開始した高圧水素ガス用ホースは、全国の燃料電池車向け水素供給ステーションで採用されており、今後の水素社会のインフラ整備の一翼を担っていく。

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