横浜ゴム アメリカ工場が稼働① T・B用 タイヤ 年産100万本に

2015年10月16日

ゴムタイムス社

新工場は500エーカーを越える土地に建設された

新工場は500エーカーを越える土地に建設された

 横浜ゴムは10月5日(現地時間)、米国ミシシッピ州ウエストポイント市に建設した、同社単独では北米初となるトラック・バス(T・B)用タイヤ工場の開所式を現地で開催した。年々増加する米国での需要に対応するとともに、地産地消体制をさらに強化することが目的。年間生産能力は100万本で、投資総額は3億米ドル。今後は需要動向を睨みながら、工場の拡張を順次進めていく方針だ。

 北米市場のシェア拡大目指す

 開所式の前日には記者会見が行われ、野地社長のほか、米国タイヤ生産子会社「ヨコハマタイヤ・マニュファクチャリング・ミシシッピ(YTMM)」の山本忠治社長ら4人が出席。野地社長は新工場について「北米市場での地産地消の事業拡大に貢献する最新鋭の生産基地になる。ここ数年、海外で建設した工場の良いところを取り入れた総決算」と紹介した。 また、米国に工場を建設した理由について「北米市場には、米国のT・B用タイヤ専門の合弁会社『GTYタイヤカンパニー』での生産と、日本やタイ、一部中国からの輸入によって対応してきたが、需要が追いつかない状況だった。特にここ3~4年はタイヤ性能が評価され、需要が増加傾向にある」と説明した。 建設候補地は、全米3000郡から検討を始め、3つに絞り込んだ後、最終的に決定した。山本YTMM社長は選定理由として「オペレーションコストの優位性、質の高い労働力が確保しやすいこと、地域のコミュニティーの歓迎」の3つを挙げた。

 新工場ではT・B用ラジアルタイヤを製造する。生産能力は日産3千本、年産で100万本。敷地面積は500エーカーを超えており「大きさは東京ドーム70個分で、タイのテストコースより大きく、新城工場だと10個分となる」(野地社長)。

 現在の従業員数は246人だが、将来的には500人まで増員する。

 今後の拡張計画については「検討中ではあるが、まだ公表できる段階ではない」(同)としながらも、大手OEメーカーとの契約が決まると年産200万本は必要になり「現在の生産能力では対応できないため、拡張が必要になってくる」(同)と説明した。

記念植樹をする野地社長とブライアント知事

記念植樹をする野地社長とブライアント知事

 北米市場においてヨコハマブランドのT・B用タイヤはリトレッド更生性能(再利用性能)、燃費性能に優れることから高い評価を得ているが、同社ではリトレッドは戦略的に実施してないという。
 自社でリトレッドを実施しないことで、他社系列のディーラーでも扱ってもらうことができるためだ。

 その結果、全米トップディーラー250店舗の80%でヨコハマ製品が販売されており、広いサービス網を確保している要因となっている。

 開発センターの設立も検討

 販売戦略については、野地社長は「ディーラー販売とOEの増加の両輪で販売を増やしていく。米国では新車購入時にタイヤを自由に選べることもあり、OEに注力していく」との方針を示した。 また、販売網が確立していない米国東部地区については、専属チームを作り、新規販路の拡大に注力。さらに、3年以内に米国に開発センターを設立することも検討しており、こうした施策を通じて北米市場の開拓をさらに推し進めていく。

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