取材メモ 国力反映した技術開発

2015年12月04日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業が12日に開催した新材料開発技術「アドバンスド4Dナノデザイン」説明会で、村岡清繁・執行役員材料開発本部長は、これが日本の技術の粋を集めたものであることを強調した。

 というのも、同技術の開発には、大型放射光研究施設「SPring―8(スプリング8)」、大強度陽子加速器施設「J―PARK(Jパーク)」、スーパーコンピューター「京」という、世界トップレベルの研究施設と連携が不可欠だったからだ。

 アドバンスド4Dナノデザインは、タイヤ用ゴムの分子レベルからミクロンスケールまでの構造と動きをトータルに把握することで、よりリアルな現象のシミュレーションを可能にした技術である。

 その開発にあたっては、スプリング8でゴムの構造、Jパークで分子の運動を解析することで、ゴム内部の構造と分子の運動を鮮明に観察。京でこの2つの解析データからリアルなモデルを作成し、シミュレーションを行った。これにより「これまでに類のない高いレベルのシミュレーション連携解析を行うことができた」(若林昇・材料第三部長)。

 汎用タイヤについては、新興国メーカーの追い上げが激しくなっているが、高性能・高品質なタイヤづくりでは、まだまだ新興国メーカーは先進国メーカーに敵わないだろう。

 それは先進国メーカーには長年にわたり蓄積した技術があるからであり、さらにはその国の科学技術の水準が施設を含めて高いレベルにあるからだ。

 今回のアドバンス4Dナノデザイン開発の説明を聞きながら、科学技術における国力といったものに、改めて思いを馳せていた。

関連キーワード: ·