【新春トップインタビュー】ブリヂストン 津谷正明CEO・西海和久COO

2016年01月01日

ゴムタイムス社
  • 津谷正明CEO・西海和久COO
  • ブリヂストン
  • グローバルR&D体制構築へ

 「真のグローバル企業」「業界において全てに断トツ」を経営の最終目標として、経営改革を進めるブリヂストン。津谷正明CEOと西海和久COOは、年末定例記者会見で15年を振り返るとともに、タイヤ事業と化工品事業に対する基本的な考え方を述べた。

 

◆15年を振り返って。

 津谷CEO 今年は14年間続いた住友ゴム工業と米グッドイヤーの提携が解消されたとか、ピレリが中国企業に買収されたとか、世界を代表するコンベヤベルト会社がドイツ企業に買収されたとか、業界再編を含めて非常に大きな出来事があった1年だった。

◆今年を100点満点で振り返ると何点か

 津谷CEO 今年も90点。振り返ってみると、随分いろいろなことに着手してきたので、自分に合格点をあげた。ただ、もう少し心穏やかに過ごしたかったという思いはある。

 西海COO 私も昨年よりは点数を上げまして80点ぐらいかなと。グローバルEXCOの中に様々なコミュニティーがぶら下がっており、その中で私が責任者となってグローバルに推進することがある程度できた。COOの役割プラス技術関係の支援もやったので、少し甘いが80点にしたい。

◆小平の開発・生産拠点の再構築については

津谷正明CEO

津谷正明CEO

 津谷CEO 社会の変革、技術の変革、特に自動車産業は大きく将来が変わることになる。あるいは情報通信も新しい技術が進む。その中で、グローバルで競争力を確保するためには、もう一つ次元の違う手が必要になる。小平は生産の地から研究開発に重点を置いていく。グローバルなR&D体制のレベルをどうやってあげていくのか議論を進めてきた。その一歩として小平の再構築を発表した。

◆SBU体制の再編については

 津谷CEO 海外SBU体制では、欧州に加えて、中近東アフリカ、トルコ、ロシア地域(BSEMEA)のSBUを発足させた。実際には一つの事業体として統合していくのはまだ時間がかかるが、将来を見据えて手を打った。

◆ソリューションビジネスについては

 西海COO 生産財トラックス・バスでは、新品リトレッド、メンテナンスサービス、ロードサービスなどを総合的に加えて、お客様のコスト、安全を支えて、ソリューション拡大を進めてきた。それを踏まえ、今後は鉱山・農機、次に消費財にまで展開していく。来年1月1日から新しい組織を立ち上げる。

 鉱山では4月にオーストラリアに拠点を作った。

ORタイヤ、コンベヤベルト、ホースといった商品とITツールを組み合わせて、リペアや交換作業などきめ細かなサービスをトータル的に組み合わせて、鉱山のオペレーションを支える独自のソリューションを展開していく。

◆多角化事業の拡充では

 西海COO カーメーカーに対して提案力を高めていきたい。そのためには、ノイズ、バイブレーション、ハーシュネスを解決していく技術が非常に重要だ。従来のタイヤ、エンジンマウントだけでなく、シートパッド、サスペンションのブッシュなどを組み合わせて総合力を発揮して、カーメーカーに対して提案力を高めて行きたい

◆タイヤ事業の拡大について

 西海COO 日本では販売、営業所、物流改革を継続し、日本の顧客に対して営業力を強めたい。

 米国では10月に自動車用品小売りチェーンのペップボーイズ社やカナダのEコマース開発会社タイヤコネクトシステムズ社の買収を開始した。これらの買収により、北米市場において量と質の向上を目指していきたい。

西海和久COO

西海和久COO

◆相次いでM&Aが行われたが

 津谷CEO 上場企業で大型の買収はここ30年で3件ある。1988年のファイヤストン、2007年のバンダク、ペップボーイズがまとまれば3件目となる。その他でも小さな買収はこれまでも各地域で必要に応じて順次やってきている。販売面の買収は、今回が初めてでなく過去にもやってきている。

 M&Aは一つの事業展開の方策と考えており、投資採算、戦略的に合うことなどを見ながら、ビジネスとして正しければやっていく。

◆同業他社の買収について

 津谷CEO 否定はしないが、戦略的にマッチしなければならい。戦略的にはマッチしても、べらぼうな条件ならやらない。

 一番大事なのは、買収した後に、うまくできるかどうかの確信だ。買収自体はお金があればできるが、既存事業とシナジーを出せるのか、統合できるのか、私たち自身がファイヤストーン買収で非常に苦労した点でもあり、M&Aに確信がもてない限りはやらない。

◆過去最高益を更新しているが

 津谷CEO 3年間毎年、上を目指してやってきた。その中で業績も良く、将来に向けての布石も打てた。しかし、あれも足りないこれも足りないという思いは強い。改善を続け、それが持続することを目指していきたい。

(アングル)

 津谷CEOと西海COOが2012年3月に就任してから3年9ヵ月の間で、国内外で二人合わせて約130回を超える直接対話集会をやってきたという。西海COOは「コミュニケーションを改善することにより、ブリヂストンが一つになり、より社会に役に立つ会社に引き続きしていきたい」と話した。

 

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