タイヤ4社 15年12月期決算 増収も利益で明暗

2016年02月22日

ゴムタイムス社

 海外市況悪化など響く

 タイヤ4社の15年12月期連結決算が出揃った。国内販売は低調だったものの、北米市場が好調だったことや円安・原材料安などにより、各社とも増収を確保。損益面では、ブリヂストンと東洋ゴム工業は増益となったが、住友ゴム工業と横浜ゴムは、国内市場の不振と海外市場での競争激化による市況悪化などで減益となり、明暗が分かれる形となった。

 ブリヂストン

 ブリヂストンは2月17日、東京・南麻布の同社グローバル研修センターで、津谷正明CEOらが出席して決算説明会を開催した。
 2015年12月期連結決算の売上高は3兆7902億5100万円で前期比3・2%増、営業利益は5172億4800万円で同8・2%増、経常利益は5073億300万円で同9・5%増、当期純利益は2842億9400万円で同5・4%減となった。
 タイヤ事業については、日本では暖冬や軽自動車税増税の影響などにより、新車用、トラック・バス用タイヤを除いて前年を下回ったが、アジア・北米・欧州では新車用・補修用ともに堅調だった。
 為替は、通期で1ドル121円と前年に比べ円安で推移。対ユーロでは134円と円高になったが、為替全体としては円安となった。原材料価格は、天然ゴムが前年に比べ低水準で推移、原油価格も前年に対し大きく下落した。
 また営業利益については、原材料市況連動性契約などによる売値の低下、中南米の通貨安の影響に加え、販売強化による販管費の増加といった減益要因はあったものの、トラック・バス用タイヤの販売数量増、天然ゴムをはじめとする原材料・素材価格の低下、円安が増益要因となり、前期に比べ金額では392億円の増益となった。
 この結果、純利益を除き、売上高・営業利益・経常利益ともに過去最高を更新した。純利益については、ベネズエラ子会社の連結除外による特別損失の影響もあって減益となっている。
 16年度通期の連結業績は、売上高が3兆7500億円で同1・1%減、営業利益は5200億円で同0・5%増、経常利益は4870億円で同4・0%減、親会社株主に帰属する当期純利益は3090億円で同8・7%の予想となった。

 住友ゴム

 住友ゴム工業は2月12日、東京・丸の内のステーションコンファレンス東京で決算説明会を開催し、池田育嗣社長が2015年12月期連結決算を説明した。
 売上高は8486億6300万円で前期比1・3%増、営業利益は770億6700万円で同10・6%減、経常利益は788億9400億円で同10・3%減、当期純利益は558億3400万円で同4・9%増となった。
 米国を中心に海外市販用タイヤの販売数量が増加したことと円安効果で売上高はプラスとなったが、海外市場で価格改定したことや国内市場が不調だったことなどで、営業・経常利益は2桁減となった。当期純利益は、グッドイヤーとのアライアンス契約・合弁事業の解消に伴う特別利益の計上などで増益となり、過去最高値を更新した。
 セグメント別では、タイヤ事業の売上高は7321億6800万円で同0・1%増、営業利益は731億1400万円で同6・8%減。国内市販用タイヤは、夏タイヤで低燃費タイヤの販売数量が前期を上回ったが、冬タイヤが前期を下回り、売上高は前期に比べ減少した。国内新車用タイヤは、販売数量・売上高ともに前期に比べ減少。海外市販用タイヤの売上高は前期を上回った。
 スポーツ事業の売上高は776億3100万円で同10・2%増、営業利益は20億1100万円で同36・6%減。産業品他事業の売上高は、388億6400万円で同8・1%増、営業利益は19億3000万円で同58・5%減となった。
 次期の連結業績予想については、売上高が8600億円で同1・3%増、営業利益は800億円で同3・8%増、経常利益は770億円で同2・4%減、親会社株主に帰属する当期純利益は570億円で同2・1%増を見込んでいる。

 横浜ゴム

 横浜ゴムは2月12日、15年12月期連結決算を発表し、野地彦旬社長らが出席して本社で決算説明会を開催した。
 売上高は過去最高となる6298億5600万円、前年同期比0・7%増となったが、営業利益は545億3600万円、同7・7%減、経常利益は493億3400万円、同11・6%減、純利益は363億700万円、同10・4%減の増収減益となった。原材料安や円安の進展などの好材料はあったものの、自動車生産台数の減少、価格競争の激化など市場環境の悪化などが減益要因となった。
 タイヤ事業の売上高は5006億2300万円、同0・6%増となり、総売上高の79・5%を占めた。営業利益は430億3700万円、同11・4%減となり、全体の78・9%を占めた。
 国内新車用は自動車生産台数の減少を受け、販売量・売上高ともに前期を下回った。国内市販用も価格競争の激化や暖冬による冬用タイヤの販売が低調に推移したことなどから、販売量・売上高ともに前期を下回った。
 海外市販用は価格競争が激化する中、北米が昨年に続き堅調に推移し、中国も販売が好調で、売上高は前期を上回った。
 MB事業の売上高は1217億600万円、同1・2%増となり、総売上高の19・3%を占めた。営業利益は105億3400万円、同2・9%増となり、全体の19・3%を占めた。
 16年度の業績予想は、売上高6520億円(同3・5%増)、営業利益550億円(同0・9%増)、経常利益510億円(同3・4%増)、純利益340億円(同6・4%減)を見込んでいる。

 東洋ゴム

 東洋ゴム工業は2月15日、東京・大手町の大手町サンスカイルームで決算説明会を開催し、清水隆史社長が2015年12月期連結決算を説明した。
 売上高は4077億8900万円で前期比3・6%増、営業利益は633億8100万円で同33・4%増、経常利益は568億1400万円で同22・1%増、当期純利益は16億7400万円で同94・6%減となった。
 北米市場で高付加価値商品であるSUV用タイヤの主力商品が好調だったことや、自動車用防振ゴムが海外市場で堅調に推移したこと、原材料安と円安が追い風になったことなどにより、タイヤ事業・ダイバーテック事業ともに増収増益となり、売上高・営業利益・経常利益がいずれも過去最高となった。
 また、売上高が初めて4000億円に到達。増収は3期連続、増益は4期連続となっている。
 一方、当期純利益については、免震ゴム問題の製品補償対策費・製品補償引当金繰入額の約467億円と、独禁法関連損失約42億円を特別損失として計上したことにより大幅減となったが、黒字は確保した。
 タイヤ事業の売上高は3255億3900万円で同4・3%増、営業利益は580億400万円で同28・0%増。ダイバーテック事業の売上高は820億3800万円で同0・6%増、営業利益は39億5500万円で同91・2%増となった。
 次期の連結業績予想は、売上高が4200億円で同3・0%増、営業利益は550億円で同13・2%減、経常利益は510億円で同10・2%減、親会社株主に帰属する当期純利益は300億円を見込んでいる。

関連キーワード: ·