ブリヂストン タイヤ生産で新システム導入

2016年05月26日

ゴムタイムス社

 ブリヂストン5月25日、同社独自のICT(情報通信技術)に、新たに人工知能(AI)を実装した最新鋭タイヤ成型システム「EXAMATION」を今年2月に彦根工場に導入したと発表した。

EXAMATIONの外観

EXAMATIONの外観

 新システムは、現行製法では人手で行っている工程を自動化したもので、これによりタイヤ生産技術における更なる品質向上、高生産性の実現を目指す。

 「EXAMATION」では、高分子・ゴム・複合体の材料加工に関するデータや、生産工程などで得られる膨大な情報に、技能員が培ってきた技術・ノウハウを加えたビッグデータを解析し、AIが生産システムを自動制御する。
 これにより、人による様々なバラツキが極小化されることで、ユニフォミティーを15%以上向上させたタイヤ製造が可能になるだけでなく、既存製法と比較して約2倍の生産性向上を実現する。

フィールド情報のセンシング技術、アルゴリズムを生む解析予測技術、高精度加工技術の3工程を高速で回すことにより、予測精度を向上させ、業務品質やスピードの改革を行う

フィールド情報のセンシング技術、アルゴリズムを生む解析予測技術、高精度加工技術の3工程を高速で回すことにより、予測精度を向上させ、業務品質やスピードの改革を行う

 更に同システムで得られた情報を既存の成型システムや前後の工程間、製品情報など様々なデータに繋ぐことにより、2020年までに彦根工場全体の生産能力を1・4倍に高める。

写真はセンシングイメージ

写真はセンシングイメージ

 製造方法も刷新している。従来製法では単一のドラム上に部材を順番に積層していくため、全ての部材を積層するまで、次の作業工程に移れず、生産リードタイムにロスが生じていたが、新システムでは、複数のドラムを配置したマルチドラム製法を採用することで、部材の貼り付け動作を同時並行で行うことができるため、生産性向上が可能となった。

タイヤ1本あたり480項目の品質データをセンサーで計測することにより、品質向上を実現した。

タイヤ1本あたり480項目の品質データをセンサーで計測することにより、品質向上を実現した。

 また、従来製法では手作業による成型を前提としていたため、技能伝承や教育が重要な要素になっていたが、新システムでは、これまで技能員のスキルに依存してきた生産工程や品質保証の判断・動作も含め、全て設備側で自動化するため、人の介在に伴うバラツキを抑制することができる。

技能員は、生産現場の状況をリアルタイムに把握できるウェアラブル携帯端末を装着し、本システムに生じた不具合や材料交換などを迅速に対応する

技能員は、生産現場の状況をリアルタイムに把握できるウェアラブル携帯端末を装着し、本システムに生じた不具合や材料交換などを迅速に対応する

 新システムの説明を行った三枝幸夫タイヤ生産システム開発本部長は「新システムを彦根工場に続き、国内外の既存・新設工場などに順次展開していく」と今後の方針を示した。

「国内外の既存・新設工場などに順次展開していく」タイヤ生産システム開発本部の三枝幸夫氏

「国内外の既存・新設工場などに順次展開していく」タイヤ生産システム開発本部の三枝幸夫氏

新システムにより、生産性2倍、スキルレス3倍、ユニフォミティー15%向上が可能となった 

新システムにより、生産性2倍、スキルレス3倍、ユニフォミティー15%向上が可能となった

 

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