タイヤ4社 1~6月期 円高などで減収に 通期予想を下方修正

2016年08月22日

ゴムタイムス社

 タイヤ4社の2016年12月期第2四半期連結決算が出揃った。国内では自動車生産の減少、海外では円高の進行や価格競争などにより、4社とも減収となった。営業利益についても、住友ゴム工業が原材料価格の下落や全社挙げての総原価低減活動などによりプラスとなったものの、他の3社は減益となった。この結果を受けて、各社とも通期業績予想を下方修正している。

 ◇ブリヂストン
 ブリヂストンの2016年12月期中間連結決算は円高や販売数量の減少で売上高1兆6465億6700万円、前年同期比11・3%減、営業利益2182億4100万円、同8・2%減、経常利益2139億3500万円、同8・2%減の減収減益となった。

 タイヤ事業は円高の影響による日本・米州での減収減益により売上高は1兆3527億円で同13%減、営業利益は1986億円で同9・0%減となった。多角化部門では、売上高が3010億円、同3・0%減となり、営業利益は化工品事業での鉱山関連のベルト、ホース産業資材、自動車用防振ゴムの需要減による利益減少の影響により195億6000万円、同5・0%減となった。

 営業利益については、「原材料価格の低下(570億円)、ランフラットタイヤ等の戦略商品(30億円)の増益要因があったものの、原材料価格の低下に伴う売値の低下・販売数量(495億円)に加え、円高(230億円)、販売管理費の増加(50億円)が収益を圧迫」(江藤彰洋執行役員副社長)し、合計では前年同期比で195億円の減益となった。

 通期の業績予想については、通期の想定為替レートを従来の1ドル=115円から105円を見込み、円高の影響が営業利益を押し下げるとし、当初予想を下方修正した。

 連結売上高は3兆3400億円、前期比11・9%減、営業利益4530億円、同12・4%減、経常利益4340億円、同14・4%減、当期純利益2570億円、同9・6%減の減収減益を見込んでいる。通期での減収減益予想はリーマンショック時の2009年度以来、7期ぶり。

 原材料価格については引き続き低位安定を予測。タイヤ販売数量については乗用車用は堅調であるが、トラック・バス用は北米を中心に弱含みで下期は計画をやや下回る見込み。乗用車用の戦略商品の販売は伸長するが、ORR超大型タイヤ/大型は前年を下回る見通しで来年度以降の回復を見込んでいる。

 上期の設備投資は746億円を実施、年間では円高で若干数量が減少することから能力増強投資の開始時期を遅らせるなど抑制する見通し。

 

 ◇住友ゴム
 住友ゴム工業は8月8日、都内で決算説明会を開催し、池田育嗣社長が2016年12月期第2四半期連結決算の説明を行った。

 売上高は3735億6600万円で前年同期比3・9%減、営業利益は307億8200万円で同5・2%増、経常利益は276億5800万円で同10・9%減、四半期純利益は281億700万円で同40・5%増となった。

 円高の進行などにより減収となったが、会社を挙げての総原価低減活動などで営業利益は増益。昨年10月の米国グッドイヤーとのアライアンス解消に伴い、北米・欧州の合弁会社からの持分利益計上がなくなったことや、円高による為替差損の発生などにより、経常利益は減益となった。

 四半期純利益は、第1四半期にグッドイヤーなどの株式売却を行ったことによる特別利益の計上、繰延税金資産の計上で税負担が減少したことなどによって、過去最高益を更新した。

 タイヤ事業の売上高は3204億6300万円で同3・5%減、営業利益は274億4500万円で同0・3%減。

 国内市販用タイヤは、「エナセーブ」シリーズや「ル・マン4」を中心に拡販に努めたことで、販売数量・売上高ともに前年同期を上回った。

 国内新車用タイヤは自動車生産台数が前年同期を下回ったため、販売数量・売上高ともに減少。

 海外市販用タイヤは販売を伸ばしたが、円高の影響により、売上高は前年同期を下回った。

 海外新車用タイヤはタイや南アフリカ、ブラジルで販売を伸ばした。北米・欧州でも納入を拡大したことにより、販売数量は増加したものの、円高が響き売上高は前年実績割れとなった。

 スポーツ事業の売上高は364億3900万円で同3・7%減、営業利益は25億9900万円で同189・8%増。産業品他事業の売上高は166億6400万円で同11・7%減、営業利益は7億3100万円で同11・3%減。

 通期の業績業績予想については、円高などにより第2四半期決算が計画を下回ったことから、売上高・利益ともに当初予想を下方修正した。

 売上高は8100億円で前期比4・6%減(前回予想比5・8%減)、営業利益は700億円で同9・2%減(同12・5%減)、経常利益は660億円で同16・3%減(同14・3%減)、当期純利益は535億円で同4・2%減(同6・1%減)の見通しとなった。

 

 ◇横浜ゴム
 横浜ゴムは8月10日、本社で野地彦旬社長らが出席して決算説明会を開催し、2016年12月期第2四半期連結決算の説明を行った。

 売上高は2681億1700万円で前年同期比9・5%減、営業利益は157億1700万円で同37・9%減、経常利益は123億6600万円で同48・3%減、四半期純利益は82億3500万円で同49・3%減。

 原材料安などの好材料はあったものの、国内の自動車生産台数の減少や需要低迷、価格下落などの悪化に加え、円高が収益を圧迫した。

 セグメント別では、タイヤ事業は売上高が2082億2200万円で同10・1%減、営業利益は120億7700万円で同37・6%減。

 国内新車用は商品MIXの改善により増益。国内市販用も高付加価値製品を中心に販売を強化した結果、増益となった。

 海外は円高や価格競争の影響が大きく減収となったが、北米は全体的に堅調、欧州で新規販路が販売に寄与するなど、全体では販売を伸ばした。

 MB事業は売上高が563億4000万円で同7・7%減、営業利益は35億300万円で同37・1%減だった。

 ホース配管は自動車用ホースの需要減などにより低調に推移。工業資材は円高に加え、国内粗鋼生産の低迷などにより低調だった。

 ハマタイト・電材では、建築用シーリング材は国内の建設用需要の落ち込みにより、売上高が前年同期を下回ったが、中国向け自動車用接着剤などは好調で増益となっている。

 通期の業績予想については当初予想を下方修正。売上高は6000億円で前期比4・7%減(当初予想比8・0%減)、営業利益は380億円で同30・3%減(同30・9%減)、経常利益は310億円で同37・2%減(同39・2%減)、当期純利益は200億円で同44・9%減(41・2%減)となった。

 

 ◇東洋ゴム
 東洋ゴム工業は8月10日、都内で清水隆史社長らが出席して2016年12月期第2四半期決算説明会を開催した。

 売上高は1864億3900万円、前年同期比4・1%減、営業利益は262億1800万円、同10・0%減、経常利益は209億2500万円、同21・5%減となり、減収減益となった。原材料安の一方で、円高や市況の変化に対応したこともあり、売上高・営業利益・経常利益は前年同期を下回った。

 製品補償対策費および製品補償引当金繰入額を特別損失として約176億円(うち免震ゴム関連で約169億円)計上したことで、四半期純利益は21億5100万円(前年同期は41億5600万円の損失)となった。

 タイヤ事業の売上高は1486億7900万、同3・6%減となり、営業利益は243億5200万円、同8・5%減となった。

 新車用は同社品装着車種の販売が好調に推移したことなどで、国内は販売量・売上高ともに前年同期を上回った。海外も新規ビジネスの獲得により、販売量・売上高ともに前年同期を上回った。この結果、新車用タイヤは販売量、売上高ともに前年同期を上回った。

 国内市販用はミニバン専用タイヤ「トランパス」シリーズの新商品「トランパスML」の発売などで、販売量は前年同期を上回ったが、売上高は前年同期並みとなった。

 海外市販用は米国の販売数量が前年を上回り、欧州市場も販売を大きく伸ばし、トータルの販売量は前年を上回ったが、円高の影響で売上高は前年同期を下回った。

 ダイバーテック事業の売上高は377億2700万円、同5・7%減となり、営業利益は14億3100万円、同18・9%減)となった。

 通期の業績予想については、第2四半期の特別損失の計上のため、5月発表時の予想を売上高と純利益について下方修正し、売上高は3950億円で同3・1%減、営業利益は520億円で同18・0%減、経常利益は455億円で同19・9%減、当期純利益は180億円を見込んでいる。

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