タイヤメーカー4社がこのほど発表した16年12月期中間決算で、工業用品などを主体とする非タイヤ部門は、売上が各社とも前年同期実績を下回った。利益面では、スポーツ事業が好調だった住友ゴム工業を除き、3社が減益となった。資源国関連や鉄鋼関連などの需要減から、産業用資材の販売が低迷したほか、円高の進行が減収減益の大きな要因となった。
◇ブリヂストン
ブリヂストンの非タイヤ事業である多角化部門は、ベルト、ホース、インフラなどを含む化工品事業に、スポーツ用品、自転車などを加えたセグメント。
16年12月期中間決算の多角化部門では、化工品事業での鉱山関連のベルト、ホース産業資材、自動車用防振ゴムの需要減などの要因から、売上高は3010億円で前年同期比3%減、営業利益は195億円で同5%減となり、減収減益となった。全売上高に占める多角化部門の割合は18・3%で、同1・5ポイント上昇した。
通期の予想では、多角化事業の売上高は5900億円で前期比7%減、営業利益は400億円で同10%減、営業利益率は6・8%を見込んでいる。
◇住友ゴム工業
住友ゴム工業の非タイヤ事業は、スポーツ事業および産業品他事業から成っている。16年度中間期の合計売上高は531億300万円で同6・4%減、営業利益33億3000万円で同93・5%増となり、減収増益となった。全売上高に占める非タイヤ事業の割合は14・2%で同0・4ポイント下落した。
そのうちスポーツ事業の売上高は、364億3900万円で同3・7%減、営業利益は国内ゴルフ用品市場で「ゼクシオ・ナイン」の増販による販売構成の良化や、円高による仕入コストの減少などにより、25億9900万円で同189・8%増となった。
産業品他事業の売上高は166億6400万円で同11・7%減、営業利益は7億3100万円で同11・3%減。医療用ゴム部品や制振事業は堅調に推移したが、プリンター・コピー機用精密ゴム部品ではプリンター・コピー機メーカーが減産。円高の影響もあって減収となったほか、体育施設や土木海洋といったインフラ系商材も販売が減少したため、減収減益となった。
通期の予想では、スポーツ事業の売上高は、760億円で同2%減、営業利益は35億円で同74%増。産業品他事業の売上高は390億円で同横ばい、営業利益は25億円で同29%増を見込んでいる。
◇横浜ゴム
非タイヤであるMB(マルチプル・ビジネス)事業の16年度中間期売上高は、563億4000万円で同7・7%減、営業利益は35億300万円で同37・1%減となり減収減益となった。全売上高に占める同事業の割合は21・0%で、同0・4ポイント上昇した。
そのうちホース配管は、自動車用ホースの需要減などにより低調に推移。工業資材は円高に加え、国内粗鋼生産の低迷などにより低調だった。
ハマタイト・電材では、建築用シーリング材は国内の建設用需要の落ち込みにより、売上高が前年同期を下回ったものの、中国向け自動車用接着剤などは好調で増益となった。
航空部品は官需向けは好調だったが、民間航空機向けは低調に推移し、売上高は前年同期を下回った。
通期の予想では、MB事業の売上高は1120億円で前期比8・0%減、営業利益は77億円で同26・9%減を見込んでいる。
◇東洋ゴム工業
同社の非タイヤ部門は、ゴムの特性を最大限に引き出し、独自の技術で多様な用途やニーズに応えるべく、ダイバーシティ(多様性)とテクノロジーを組み合わせて「ダイバーテック事業」と名づけられている。
同事業の16年度中間期売上高は377億2700万円、同5・7%減となり、営業利益は14億3100万円、同18・9%減で減収減益となった。全売上高に占める同事業の割合は20・2%で同0・4ポイント下落した。
輸送機器分野において自動車用防振ゴム及び自動車用シートクッションは、自動車メーカーの操業停止の影響はあったものの、全体の売上高は前年同期比並みとなった。
一方、断熱分野における販売低迷、産業資材分野における需要低迷などにより、ダイバーテック事業全体では減収減益となった。
通期業績予想では、ダイバーテック事業の売上高を771億9100万円、同5・9%減、営業利益は27億5000万円、同30・5%減、営業利益率は3・6%を見込んでいる。