住友ゴム 天然ゴムの末端基構造を解析する研究成果を発表

2016年10月26日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業は10月26日、高性能なNMR装置を使う独自の解析手法で、これまで解明されていなかった、パラゴムノキから採取された天然ゴムの末端基構造を解析した研究成果を「国際ゴム技術会議北九州」で発表した。

 この研究成果により、タイヤの低燃費性能と耐摩耗性能の向上につながる天然ゴムの性能向上や、加工性の改善が期待される。

 天然ゴムはパラゴムノキから採取される農産物で、タイヤの原材料として古くから使われている。しかし、ゴム特性に影響する、天然ゴムの分岐構造を形成すると考えられている末端基(ω末端、α末端)の詳細構造については、これまで解明されていなかった。

 今回、天然ゴム原産地での化学処理に加え、大阪大学の高性能なNMR装置を使うことで、一般的な性能の装置では検出が難しい末端基の微弱なNMR信号を検出することが可能となった。

 さらに複数のNMR測定法を用いて解析することで、それらのNMR信号パターンに合致する化学構造を探索することが可能となり、末端基の構造を導き出すことができた。

 この結果、天然ゴムのω末端はジメチルアリル基、α末端の構造は4つの異なる構造の混合物であり、これらの構造のうち2つが分岐構造やゲル形成に寄与していることが分かった。

 天然ゴムの末端基構造の解析結果から分岐構造を解明することが可能となり、この解明によりタイヤの低燃費性能と耐摩耗性能の向上につながる天然ゴム自体の性能向上や、加工性改善につなげていくことが可能となる。

 さらにこの構造解析の結果から、天然ゴム特有の優れた性能を示すメカニズムを明らかにすることで、新材料開発につながることが見込まれる。

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